翌日から
娘は毎日のように
紋を訪ねるようになりました
はじめのころは
父親と二人でやってきていましたが
そのうち
ひとりで杖を突いて
訪れるようになりました
ひとり歩きは危険だからと
迎えに行くと申し出る
紋に
娘はキッパリと言いました
『私は目が見えません。だけどそれは
ひとりで歩けない理由にはなりません』
娘の名は”花”
紋と花は
長い時間いっしょにいても
話がつきません
その反面
ただ黙って
いっしょに過ごすことも
多くありました