声の主はえくぼのある女の子だ
たぶん中学生くらい
まさにオレはこの子に会いたくて
ドアをカリカリしてたわけだけど…
おいおい
どこから現れるんだよ
そうか!
出かけていたんだな
それで
いくら叫んでも
気づいてもらえなかったのか
ひょいっと
えくぼの子に抱き上げられた
”やっと家の中に入れる”
そう思ったオレだが
えくぼの子は家には入らず
オレを抱いたまま
すぐ横の階段をスタスタ上がっていく
”おいおいどこに行くんだよ”
寒くて腹ペコのオレは
不満だった
オレの不満な気持ちに気づいてか?
えくぼの子が言った
「家を間違えてるよ、うちは2階」