もうすぐ世界遺産かもの長崎大浦天主堂のマリア像

 

今年に入って、とある集まりに参加した時、偶然リベラという少年合唱団の歌うカッチーニの『アヴェ・マリア』を聴いた。

 

 

その美しい歌声に気が遠くなり、ウルウルになった。
倍音が聴こえてくるようで、まさに「天使の歌声」だと思った。
最初は初めて聞く曲だと思ったが、よくよく思い出すとこの曲以前に聴いたことがあった。

スラヴァ!
ロシアのカウンターティナーで、かれこれ20年以上前、彼のデビューアルバムが日本で無茶苦茶ヒットして、私も買って聴いた。それがカッチーニの『アヴェ・マリア』だった。

 

 

リベラもスラヴァも、どちらも素晴らしいなあ。スラヴァの歌声はちょっと怖いけど。

しかし、この曲を聴いていて、あれ?と思ったことがあった。
この曲の歌詞は♪アヴェ・マリア〜のひたすらリフレイン。
『アヴェ・マリア』といえば、グレゴリオ聖歌やグノー=バッハ、そしてシューベルトが有名で、テレビでも良く流れているが、歌詞は♪アヴェ・マリア〜以外にもなんか違う歌詞を歌っていたよな?と思い、YouTubeで聴いてみた。


グレゴリオ聖歌の『アヴェ・マリア』

 

 

グノー=バッハの『アヴェ・マリア』

 

 

シューベルトの『アヴェ・マリア』

 

あれれ?上の2曲とシューベルトの『アヴェ・マリア』も歌詞が違う。

単に言語の違いかと思いきや、wikiで調べてみて、判明した。

『アヴェ・マリア』という歌の歌詞は元来、カトリック教会のラテン語の祈りの詞(ことば)だそうで、『ルカの福音書』から取られているそうである。
日本のカトリック教会では日本語で『アベ・マリアの祈り』として良く唱えられている祈りの詞である。
グレゴリオ聖歌とグノー=バッハの『アヴェ・マリア』はこのラテン語の詞によっている。

かたや、シューベルトの『アヴェ・マリア』は元来、19世紀のイギリスの詩人ウォルター・スコットの叙事詩『湖上の美人(The Lady of the Lake)』のドイツ語訳の歌詞を元に作曲された歌曲だそうである。
しかし、歌い出しが♪ アヴェ・マリア〜から始まるため、後年になって、ラテン語の『アヴェ・マリア』の祈りの詞に歌い変えられるということが生じ、宗教曲と誤解されるようになったという。


ラテン語の『アヴェ・マリア』
Ave Maria, gratia plena,
Dominus tecum,
benedicta tu in mulieribus,
et benedictus fructus ventris tui Jesus.
Sancta Maria mater Dei,
ora pro nobis peccatoribus,
nunc, et in hora mortis nostrae.
Amen.


日本語訳『アヴェ・マリアの祈り』
アヴェ、マリア、恵みに満ちた方、
主はあなたとともにおられます。

あなたは女のうちで祝福され、
ご胎内の御子イエスも祝福されています。
神の母聖マリア、
わたしたち罪びとのために、
今も、死を迎える時も、お祈りください。
アーメン。


シューベルトの『アヴェ・マリア』=『湖上の美人』は歌詞は長いので省略(youtubeの字幕を見てください)。笑

イエス・キリストの母マリアの人気は高い。カトリックでは神の母として崇敬されている。プロテスタントでは原理的にはマリアへの崇敬は否定されるのであろうが、実際にはプロテスタント各会派によって賛否両論があるという。
また、キリスト教信者が1%にも満たない日本でも聖母マリアとして人気は高く、長崎に行くとお土産屋さんに様々なマリア像が売られている。
それは宗教を問はず、母という存在が社会的な役割としてではなく、人間(子)の本能において、特別な意味合いを持っているためかもしれない。聖母マリアへの崇敬はその象徴的出来事なのかも知れない。

「母の日」過ぎちゃってますが、
すみません。
おわりです。