私の読書はかなり偏っていて、文学であれば所謂「純文学」と言われる分野がほとんどである。「純文学」という名称には違和感を覚えるが、昭和の頃、良く見かけた喫茶店の「純喫茶」みたいなものか。意味不明。笑

しかし中学生の頃、推理小説にドハマリしたことがある。きっかけは角川春樹の仕掛けにまんまと引っ掛かって、映画「犬神家の一族」「獄門島」や「人間の証明「野生の証明」を観て影響を受け、横溝正史や森村誠一の文庫本を片っ端から読破した。それから高木彬光、松本清張の推理小説も相当量読んだ。
それは中学1〜2年ぐらいの短い間で、その後全く読まなくなった。
しかも本来遅読の私がかなり速いスピードで、ストーリーを追いかけただけの乱読であったため、それらの推理小説の内容は記憶はあまりない。
ただ、それらの推理小説の中で松本清張があまり面白くない、「砂の器」などは推理展開がよくわからなかった記憶が残っていた。

そんなレベルであったが、十数年前に、テレビ「日曜日劇場」で元SMAP(泣)の中居くん主演のドラマ「砂の器」が放送され、大好きな松雪泰子が出演していたので見始めた。
ちなみに松雪泰子。この女優、デビューした頃は綺麗なだけの大根だなと思って全く興味がなかったのだが、映画「フラガール」を観て評価が豹変した。役柄の表現の深度が深い。今現在の感情だけでなく、常にそれまでの過去、経験を感じさせる演技に深く感動した(まあ、その後、彼女の役どころは悲しい過去を持つ影のあるものが多く、パターン化した感も無きにしも非ずだが、存在感だけでも凄い)。

ドラマ「砂の器」は感動した!原作には設定のない松雪泰子の役柄の絡み方が素晴らしいし、意外にも主人公役の中居くんの狂気と悲しみに満ちた演技が素晴らしいし、日本の美しい風景や登場人物の心の動きと千住明作曲のテーマ『ピアノ協奏曲「宿命」』との調和が素晴らしい。千住明の「宿命」はベタベタなロマン派調のピアノ協奏曲なのだが、ラフマニノフのピアノ協奏曲がロシアの暗澹とした空と黒い大地を思わせるとするなら、千住明のこの曲は日本の色とりどりの豊かな自然を思わせた。そしてその自然は「悲しさ」を通奏低音としていた。

ドラマの最終回エンドロールの最後、中居くんが子供の頃に父に貰った盗品のピアニカで最後の自作『ピアノ協奏曲「宿命」』の主題を吹いて聴かせるシーンが映し出され、「宿命とはこの世に生まれて来たことと、生きているということである。」と字幕が現れる。

 




更に何より私の心を震わせたのは主題歌。ドリカムの「やさしいキスをして」。ドリカムは、歌うまっ!とは思うがほとんど聴いたことがなかったが、ドラマの主題、中居くんと松雪泰子の役どころの心情と相まって、心に染み入った。
今思う。先の字幕を言い換えたい。宿命とは祝福と同義である。
「祝福とはこの世に生まれて来たことと、生きているということである。」

 

 

 

やさしいキスをして

作詞:吉田美和

作曲:中村正人

演奏:DREAMS COME TRUE

 

あなたの一日が終わる時に そばにいるね

何も言わないで やさしいキスをして

 

そっと髪を撫でて 肩を抱いて そばにいるね

あなたが眠るまで やさしいキスをして

 

電話してくれたら 走って行くから すぐに行くから

なにもかも放り出して 息を切らし 指を冷やし すぐ会いに行くから

 

報われなくても 結ばれなくても

あなたは

ただ一人の 運命の人

 

今日という一日が終わる時に そばにいられたら

明日なんていらない

髪を撫でて 肩を抱いて あなたが眠るまで

 

この出会いに やさしいキスを これが運命なら

 

↑ドラマOP用抜粋版です。

↓全曲PV版(のようですが、意味不明な映像です。しかも「溫柔的吻」って、、、。笑 しかもドリカムって「美夢成真」っていうんだぁ。