「人が変わった」とか「あいつは化けるぞ」という言葉があるが、実際そんなことがあるのか、私は懐疑的だった。私は直感的に、その人がどういう人なのか、わかる。第一印象から変わる人はほとんどいない。才能のある人、ない人、温かい人、冷たい人、無垢な人、打算的な人等々、その第一印象はその人がどんなに努力しようが変わらない。私の身近な話で行くと、新しい部下がついてその人を見た時、彼が出来る営業になるか、どう指導しても絶対モノにならない営業か、初めて挨拶を交わしたときにわかる。決定する。

私は人の顔を覚えるのが苦手だから、人の顔を見ているわけではない。人のルックスもほぼ見ていない。だから、髪を切ったとか、化粧が変わったとか、全く気付かない。その鈍感さのためにえらい目にあったりするのだが...。

その代わり、私は、多くの人の感情の動きは手に取るようにわかる。心の変化(心変わりのような)もわかる。たまにそれが見えない人がいたりすると怖くなったりするのだが…。

 

人間はその時々に、ものに触れて様々に変化するのだが、本質的なものは何も変わらないと思っている。変わるにしても深化、強化される。その人の軸は変わらない。ベクトルは変わらない。変わりえない。

私自身、生まれてこの方、変らないと思っていた。私はどんなことが起こっても変わらないだろう。そもそも人に影響を受けるという経験がなかった。本や音楽に影響を受けたが、自分が好きなものや嗜好の合うものだったから、自分の本質を強化するものでありこそすれ、私を変えることはなかった。だから、いろんなことに直面すればするほど、私は益々強固な私自身になっていくと思っていた。

 

しかし、ある方に出会って、私は劇的に変わった。急速に変わった。2週間で、1か月で、そして2か月で、みるみる変わった。自分でも変わっていくのが分かった。

いや待てよ。別の私が見たら、私は本質的には何も変わっていないと思うかもしれない。自分のことは自分が一番見えないのかも知れない。私は私自身を見間違えていたのかも知れない。それをその方は教えてくれたのかも知れない。そしてその方は私の本来的な姿を導き出してくれたのかもしれない。私はその方と一緒にいると意識がどんどん幼くなっていくのを感じる。そして触れるものすべてがその日常性をはぎ取って、新鮮に感じる。赤ちゃんは、子供は、世界をこのように見ているのだろうか。

以前は朝日は呪いだった。徹夜明けの朝日は最悪だった。しかし、今では徹夜明けでさえ、朝日は新しい一日の始まりとして祝福に満ちている。

 

 

坂本真綾というアーチストが好きだ。2009年のクリスマスイブに亡くなったフジファブリックの志村くんに教えてもらった。彼が生前、雑誌「ロッキン・オン」のインタビューで坂本真綾のクリスタルボイスを絶賛していたので、ツタヤで借りてみて、私も好きになった。ウチのPCに入れて、ウォークマンで聴いていた。

ある日、高校生になった長男がPCをいじっていて、驚きの声を上げた。

「え?パパ、坂本真綾好きなの?まじで?」

「昔から好きですけど、、、何か?」

「坂本真綾って声優だって知ってる?」

「え?知らないよ。シンガーソングライターじゃないの?」

「声優だよ!『マクロス』ってアニメがあって、その声優やってて、主題歌も歌ってる。」

「まじで?『マクロス』ならパパも知ってるよ。見てたよ。」

それを聴いていた次男も長男と一緒に

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」(ハモルな!しかも声変わりしたヤツとしてないヤツの不協和音で!!)

その後、ヲタクの二人に私の「マクロス」体験を教えてあげ、私が元祖「ヲタク」であることを伝えた。その日から私は息子たちにとって、「ヲタクの神」となった。笑

 

坂本真綾の『プラリネ』。この曲がとても好きだ。以前から好きな曲ではあったが、今は一番好きな曲となった。今の私の気持ちを代弁しているような曲だ。

長くなるが、YOUTUBE(ま、ヲタクアニメやね)のリンクを貼って、歌詞を引用して終わる。

 

 

『プラリネ』作詞:坂本真綾 作曲:山沢大洋

 

 

そういうときもあるよって 君はひとごとみたいに 
口笛吹くような軽さで ひとつ罪を背負った 

言わなくたって通じ合えるって 自信たっぷりだけど 
ときどきはね 大事なこと ことばで聞かせてよ 

君と歩いた場所が増えて
星の名をいくつか覚えた 
好きな色や 好きな本や 歌だってたくさん知った 
このままずっとそばにいたら 
好きなものだけを見つけながら生きていけるなんて
そんなこと思ったりするんだ 

みんなが思う私って なんか違和感があって 
それでもうまくかわせるから べつにいいと思った

 

でも寂しくて もどかしくて
行き場なくした気持ち 
君だけがね すぐに見抜いて抱き締めてくれた 

君に出逢って優しくなった 
自分でもわかるほど変わった 
弱くもなって強くもなった 君だってすてきになった 
笑い方や へんな癖が 
似てきたと気づくきょうこのごろ それも悪くはない
変わりたい 君と一緒に 

ひとつ ふたつ 生まれては消える光
見逃さないでいたい 

さいしょはちょっと照れくさかった
呼び方が当たり前になって 
でも逢うたびなにか違って 君はいつも新しいんだ 
ほかにだれも知らないような
油断した顔を見せてくれる 
君を もっともっと知りたいよ もっと 

君と歩いた場所が増えて
星の名をいくつか覚えた 
好きな色や 好きな本や 歌だってたくさん知った 
このままずっとそばにいたら
好きなものだけを数えながら生きて行けるなんて
そんなこと思ったりするんだ