「はじめてだらけの夏休み」
唯野未歩子
📝一学期の終業式の日。9歳の葉太が帰宅すると、母は「心の病気」の治療に専念するためと、置き手紙を残し新潟の実家に戻っていました。
一人で留守番でも葉太は平気です。なぜなら、母は家にいても横になってばかりだし、父は録音技師の仕事が忙しく、ほとんど帰ってこないのですから。
しかしその日の夜中、父が帰ってきて、「男子」2人の夏休みが始まります。
📝しっかり者の葉太に比べ、父はだらしなくて子供のようです。ビールの空き缶を片付けず、扇風機もつけっぱなしで、床やソファで中年腹を出して大いびき。食べるものといえば、ツマミや出来合いのお惣菜。帰って何日も経つのに、キャリーバッグを廊下に置きっぱなし。
私も葉太と同様、この父にはイラッときました。
愚痴はさて置き、こんな夫で奥さんがワンオペ育児してたら、まあ「心の病気」にもなりますよね、って思いました。
ですがこの父、しばらく一緒に生活してるとすごいところを見せるんです。土鍋で完璧なご飯を炊いたり、葉太を虫取りやプールに連れて行ったり、葉太の知らないような面白い(イタズラ小僧的な)遊びを教えたり。だんだんと、子煩悩な良い父親に思えてきます。
そうして父子の絆は回復していくのだけど、母は葉太に「新潟で一緒に暮らそう」と言います。
離婚の危機に立たされた父は…⁉︎
📝この本は、息子が私より先に読んで、
「最初、母が実家に帰ったところはショックだったけど、だんだん葉太と父が打ち解けていくのが良い」
と言っていました。息子は葉太の目線なんです。
私はやはり母目線で読んでしまいます。ワンオペもう限界!って思って実家に帰っても、男2人でうまくやれるか不安だっただろうな、だから葉太を呼び寄せようと決心したんだろうな…とか😓
でもこの夫婦は恋愛結婚なので、母も父の性格はよくわかってると思うんです。
父が葉太に教えたものの中に、「まっすぐ進む遊び」というのがあります。目的地まで直線距離で、極力障害物を迂回せずに進む遊びです。そのためには、よその家の塀の上を歩いたり、敷地を突っ切ったり、道路の横断歩道でないところを渡ったりと、何度も大変な目に合わなければなりません。「迂回せずにまっすぐ進む苦労」を楽しむなんて、体力と粘り強さが必要だという録音技師の仕事を追い続ける、父らしい遊びだなと思いました。
主人がこの本を読んだらどう思うか。感想を聞いてみたいものですね(笑)
🗓4/30 読了