日本一周早まわり旅 | きゅうの休憩室

きゅうの休憩室

ドールを始めたのは2015年。
コロナの自粛生活がきっかけでアニメに転向。
工作はチマチマと続けていますが。。。


※これは2013.6.29~7.7に実行した
 日本一周旅の記録を再録したものです。








鉄道愛好者(いわゆる鉄ちゃん)には、
いろいろな分類の人がいる。写真を撮る人
列車に乗る人、模型を集める人など。
別にこれと限定する必要もなく、適当に
オーバーラップさせて楽しめばよい。


鉄道旅行好きは時刻表も好きだ。
用もないのに時刻表を見て計画を立てる、
机上旅行派なんて楽しみ方もある。大抵は
計画だけで終わる安上がりなタイプ。
「日本一周一気周り」は、時刻表好きなら
一度は考えてみるだろう。


私の場合は乗らないと満足できないタイプ
なので、実現を目標に取組んでみた。
一気まわりには最低1週間はかかるので、
5日間は休暇を取らなければならない。
5日休めば前後の土日とあわせて9日にな
り、多少の余裕もできる。
仕事のやりくりの結果、7月1日~5日に
早めの夏休みをとることができた。




日程が決ったので計画開始。
ここからが最大の楽しみだ。旅のプランは
制約が多いほど作りがいがあるし、
うまくできたときの喜びも大きい。


机上旅行派には判らないことがひとつ。
プランだけなら誰にでも作れるが、実行す
るには「切符を買わなければならない」。


最大の難関、トワイライトEXPの寝台券
をいかに確保するかが腕の見せどころだ。
日本一周には、北周りと南周りの2通り
あるが、今回はトワイライトEXPを確保
するため、比較的取りやすい上りになる
北周りプランを採用することにした。



《稚内日着》










平成25年6月29日(土) 1日目


いよいよ日本一周のスタートだ。
はやぶさ1号に乗るため上野駅へ。
やはり東北への旅立ちは上野からだな。
一度改札の外に出て、気分を盛り上げる。
上野駅中央改札口は好きな駅風景の一つだ


時刻もせまり、新幹線の地下ホームへ。
上野を6:38発のはやぶさ1号で出発、
スーパー白鳥11号、スーパー北斗9号、
スーパー宗谷3号と乗継ぎ、22:47に
は稚内に着ける。朝出発してその日のうち
に到着することを日着というが、新幹線の
おかげで稚内も日着可能圏内になった。
でも実際通しで乗る人は少ないだろう。
こういう乗り方をするのも日本一周早周り
旅ならでは。まるで修行の旅のようだけど
行ってまいります。


320km運転を始めたはやぶさは快調。
新青森定刻到着。接続時間は30分ほど。
弁当を購入しスーパー白鳥の乗客となる。
函館でスーパー北斗9号に乗り継ぐ。
キハ281系はコンピュータ制御の強制振
子装置と大馬力エンジンにものを言わせ、
時速130㎞でかっとぶJR北海道自慢の
特急車両だ。それが経年を重ね少々怪しく
なってきた。


12:30函館を定刻発。
七飯からバイパスに入り振子の威力を感じ
たり、小沼を左手に眺め、今日は駒ケ岳が
見えないな、などと思っていたとき・・・
大沼駅構内で非常ブレーキで急停車した!
乗務員があわただしく走り回った後、七飯
・大沼間のトンネル内でドアが開いてしま
い緊急停止した、と放送があった。
高速でトンネルを通過する際の負圧でドア
が吸い出されて開いてしまったらしい。
30分ほど修理を試みていたが、噛んでし
まい動かないとのことで、デッキの乗客を
他の車両に移し大沼公園まで徐行、デッキ
を封鎖し、森駅まで行くことになった。
森で何人か掛かりで噛んだドアを動かし、
施錠して札幌まで運転を継続するとのこと
初日からのハプニングで先が思いやられる
が、まずはひと安心。ここまで1時間遅れ
車掌は他路線への乗換え接続の調整で車内
を奔走していた。


結局、札幌には1時間遅れで到着した。
いくら好きでも朝から晩まで乗り続けでは
疲れるので、札幌で2時間の休憩を予定し
たため、遅れを吸収できて助かった。


17:48、今日の最終ランナー
スーパー宗谷3号は札幌を出発した。
夏至(6/21)から1週間ほどなので
午後7時を過ぎた旭川でもまだ明るく、
8時の名寄手前くらいまで景色が見えた。


22:43南稚内到着。あと4分乗れば
最北端の稚内だが、ここで下車する。
今日の宿は南稚内駅前のホテル宗谷だ。
ネットで安い宿をさがしたが、観光地料金
の稚内では7千円、1駅手前なら4千円だ
った。寝るだけなので安いほうにした。






《最北端をめざす》




宗谷岬 左=日本海・右=オホーツク海



わっかない弁当 カニツメ 1080円


6月30日(日) 2日目


4時に目が覚めたときには
完全に夜が明けていた。晴天だ。
今朝は初発のバスで宗谷岬へ向かう。


バスは稚内駅前発で、南稚内も通るが
朝の散歩は気持ち良いので稚内まで歩く。
国道238号線経由で最北端の宗谷岬へ
45分、海岸沿いの快適な道だ。


乗客は4人だけだった。朝寝坊しているの
か、朝ご飯を食べているのか…
この時間から活動しないとはもったいない


稚内への戻りのバスで、終着前にドームが
見えたので下車した。北防波堤ドームは、
かつて稚泊連絡船(樺太への航路)乗り場
があったところで、ギリシャ神殿のような
円柱が並び、遥かな時を感じさせる。


これから網走まで列車で移動するが、途中
食事する時間が取れないので、豪華駅弁を
調達した。時刻表の案内にも紹介されてい
ない幻の駅弁だが、知る人ぞ知る有名な
駅弁でもある。


4人向い合せ座席のローカル列車で出発。
扇風機に国鉄マークを発見した。
旭川からはオホーツク5号で一気に網走へ
残雪の大雪連峰が夕日に輝いていた。



《日本最東端へ》







7月1日(月) 3日目


昨日の最北端から今日は最東端を目指す。
今朝も釧網本線の初発に乗るので、早々
に宿を出る。昨日着いた時は真っ暗だった
ので、駅名看板の前で記念写真を1枚。


釧路行き6:41発に乗る。網走を出て間
もなく車窓には海岸線が広がり、海の向う
に斜里岳と知床半島が霞んでいる。
海岸に最も近い北浜は、2月には接岸した
流氷を駅から見られる。次は冬に来たい。


釧網本線の見所、釧路湿原は進行方向どち
ら側の景色が良いか調べてこなかった。
塘路を過ぎてしばらく湿原が見えていたが
その後はあっち側ばかりで残念。でもこち
ら側では野生の鹿の親子が原っぱをはねる
のが見えたのでまあいいか。







釧路で快速はなさきに乗継ぎ。お昼時なの
で花咲カニを使った期間限定のお弁当を買
って乗る。どうも限定という言葉に弱く、
今日は入荷しましたと言われると、つい手
が出てしまう。厚岸のかきめしが有名だが
夏場は冷凍だし、やはり旬のものが良い。


根室ではバスの接続が良く7分しかない。
駅の見物はあとでゆっくりすることにして
バスターミナルへと急ぐ。


納沙布岬は昨日の宗谷岬とは対照的で、
国境問題のまさに渦中で明るさはない。
にらみをきかせる軍艦に恐怖すら感じる。
1時間ほどの滞在で根室に戻る。


根室本線は町の東側を回り込み、終着の
根室駅に到達する。そのため最東端駅は
東根室となっている。
まずは根室本線のどん詰まりを見に行く。
線路の果てという感じがする。次の列車
までは3時間あるので、食事をしてから
東根室駅に向うことにし、根室発のB級
グルメ、エスカロップ発祥の店に寄る。
薄いカツをのせたバターライスにデミグラ
スソースをかけたもの。カロリー高そう!


東根室まで歩き、18:56の根室行きに
乗り、そのまま根室で折返し釧路に戻る。
21:38釧路着。今夜も遅い投宿だ。
釧路名物の炉辺焼きの店にでも行きたいと
ころだが、明朝も早いのでさっさと寝る。
早回り旅のつらいところである。
天気予報では7月だというのに最低気温は
ひと桁だった。





《トワイライトEXP》








7月2日(火) 4日目


昨晩も到着が遅かったので、早起きして
少しだけ釧路の街の雰囲気を見ておく。


幣舞橋は「あ、ここ知ってる」というのが
第一印象。何かアニメのタイトルバックで
見た気がするが思い出せなくて、帰宅後
調べてみると「僕等がいた」だった。
(観たのは実写版の映画だった)


釧路はとても霧の多い所で今朝も霧の中。
釧路川に沿った公園を散歩し、駅へ向う。
網走とともに凍ばれる季節に再訪したい。


7:39発スーパーおおぞら4号で札幌へ
戻る。これで北海道を小さく一周し、北と
東の先端に行ってきたことになる。
再びラーメン共和国へ行き、いつもの
白樺山荘で味噌ラーメンを食べ満足する。
デパ地下でお弁当や土産品を物色してから
駅へ。トワイライトEXPの入線を待つ。


今夜の寝床は2号車5号室。さっそく荷物
を置き、しばしホームで列車を眺める。


14:05定刻発車。約1500kmを
22時間47分かけ、遥々大阪を目指す。
いまどきこんな悠長な列車が走っているこ
と自体奇跡で、貴重な存在である。
せいぜい今のうちに乗っておきたい。


いつものとおり食堂長、車掌、ウェルカム
ドリンクの訪問を受け、ひと段落。
北海道の車窓をゆっくり堪能する。
真白な冬も格別だが、夏の緑もまた良い。
車輪の音と振動、流れる車窓のハーモニー
に身を任せる。(実はボーっとしてるだけ)


噴火湾の車窓に光る海の反射を眺め、
五稜郭で日没を見る。函館を過ぎ
薄暮の函館山のシルエットを見た。
車掌の案内放送とともに青函トンネルに
突入する。時計の針を見比べながら、
海底駅や最深部の通過を確認する。
竜飛海底駅は見学ツアーで訪れたことがあ
るが、新幹線工事が進み公開は終了した。




《一路、南へ西へ》









7月3日(水) 5日目


寝台車のベッドで迎える朝。
4:33新津着。昨日洞爺を16:33に
発車してから、実に12時間ぶりだ。


朝の日本海が車窓に広がり、
モーニングコーヒーの香りとともに、
まさに至福のひとときである。


旅も今日で5日目、折り返し点だ。
ここまでは順調で、ほぼ予定どおり。
夕方には新幹線で一気に九州へ上陸する。




《最西端の駅》






7月4日(木) 6日目


今日は最西端の駅たびら平戸口を目指す。
昨日、小倉到着時の蒸し暑さは強烈だった
気温・湿度が高く、まとわりつくようだ。


九州では「バースデーパス」を利用する。
JR九州の窓口でしか買えないため、購入
と同時に翌日からの指定券をお願いした。


小倉6:00発のきらめき1号に乗る。
日本の東端から西端へ移動したので、時差
1時間と天候で5時を過ぎても薄暗い。
博多でみどり1号に乗換え佐世保着。


松浦鉄道の接続は2分しかないので走る。
改札の外に看板を発見、階段を駆け上がる
がよく判らない。聞こうにも人がいない。
佐世保というターミナルなのに松浦鉄道は
無人駅だったのだ。わからないまま無札で
乗車、運転手から1日乗車券を購入した。


たびら平戸口は最西端駅でその手前、カー
ブの途中が鉄路の最西端となる。この辺か
なと見ているうちに最西端駅に到着した。
朝からずっと雨だが、やっと小降りに。
駅員さんによると、昨日は雨がひどく列車
が大幅に遅れたとのこと。











平戸島へは以前はフェリーで渡っていたが
平戸大橋ができてバスに替わった。渡船の
名残でバス停は両岸の桟橋にある。まずは
観光案内所でお散歩マップを手に入れる。


平戸は歴史ロマンにあふれる町で、
どこを歩いても趣がある。
すれ違った男子中学生に、さりげなく挨拶
され、町全体で歓迎してくれるようで
うれしかった。


高倉健の映画「あなたへ」のロケ地になっ
た薄香まで大急ぎで行ってみた。
一般の民家にウインドウや看板をつけて
撮影したそうだが、撮影終了後も当時の
まま残してある。私も健さんになりきって
ポスターのカットを1枚撮ってきた。
1時のバスで再び駅に戻る。


駅舎内のミニ博物館で最西端駅訪問証明書
付きの入場券を購入した。
ところで、最西端、最南端の駅については
沖縄のモノレールとする説もあるが、モノ
レールは鉄道ではないし、趣味の世界の話
なのでどっちでも良いが、私は純粋に鉄路
の最西端、最南端の駅として認めている。


伊万里で乗換え有田へ。
これで松浦鉄道をぐるりと一回りした。
新鳥栖で新幹線に乗換え。
800系つばめは普通車しかないが、全車
2列の広い座席でなかなか良い。久留米で
さくらに乗換え、一気に鹿児島中央へ。




《いよいよ最南端へ》







7月5日(金) 7日目


鹿児島中央4:51の指宿行き初発に乗る
4時前に夜が明けた稚内に比べ、鹿児島の
朝は遅く完全に真っ暗だ。


概して最果ての駅は不便で、少ない本数の
列車に乗るのは大変だ。終着の枕崎にも足
を伸ばしたいし、最南端駅西大山にも下車
しなければならない。そこで時刻表を見る
今朝も、初発に乗らなければならない。
暗い中、車窓を雨が濡らす。桜島の背後か
ら空が明るくなりかかるが頂上は雲の中だ。
指宿で枕崎行きに乗継ぐ。


6:26西大山着、一歩ホームに降りた。
最南端駅に到達した瞬間だ。
記念写真を撮る人もいるらしく、待って
くれるが、今はここでは下車しない。
乗り継ぎの都合でまずは枕崎まで行く。


枕崎7:20着、7:38折返し。
折返しまでの18分間で記念写真を撮る。


2度目の西大山で下車、
次の列車まで約30分ある。
線路の最南端地点を見、駅の看板で記念写
真を撮るのにはちょうど良い時間だ。


戻りの列車で、沿線の高校でプールサイド
から高校生が大勢手を振ってくれる。
ちょうど昨晩のTVニュースで、観光指宿
のおもてなし、と放送していた。


未明から動き始めたので、最果ての地を
巡ってきてもまだ10時半だ。
まずは鹿児島名物氷白熊を食べるために
市電で天文館へ。最近降灰があったようで
歩道の隅に黒い灰が吹き溜まっている。
降灰がひどいとレールの溝に詰まり、集電
不良で電車が止まることもあるという。
正午過ぎ、自分の影は足元にうずくまる。











今回の旅のテーマ、北東西南の最果てめぐ
りも無事終わり、あとは帰るのみ。
だが日本一周を名乗るからには四国にも
足を踏み入れなければならない。
四国へは、3本の本四架橋か、フェリーを
利用するかになる。九州~四国のフェリー
航路もいくつかあり、夜行便がある松山・
小倉フェリーが目にとまった。


鹿児島~小倉は新幹線なら1時間半だが、
乗り放題キップもあるので回り道で行こう。
はやとの風・いさぶろう・九州横断特急と
乗継ぎ、新八代から新幹線で小倉へ向かう
ことにする。
バースデーパスで乗車していたので、九州
横断特急の車掌からバースデーカードをも
らった。小さな心遣いがうれしかった。


フェリー乗り場は小倉駅から10分ほど。
コンビニで明日の朝食を仕入れ港へ急ぐ。
案外混んでいて、寝台は満席、桟敷席も
けっこう埋まっていた。さすがに列車より
も空間の余裕がある船なので、2等寝台で
も列車のA寝台より広くて快適だ。


さっそく荷物を置き、デッキに出る。
関門海峡橋をくぐるまで、
存分に夜景を楽しんだ。




《伊予から讃岐へ》










7月6日(土)8日目


最終日の朝は松山観光港で明けた。
4時半におはよう放送があり5時到着。
車の人は下船の準備であわただしいが、
車なしの乗客は7時まで滞在可能だ。
6時まで寝て、ロビーで朝食をとり、
ゆっくり身支度を整える。


港は市街地からは少々離れており、
伊予鉄高浜駅から松山市まで21分だ。
市街地の入口、古町(こまち)で降りる。


市内線は路面電車で、本線と大手町の大通
りの踏切で直角に交差しているのは有名。
市内線は環状になっているのでもう1ヶ所
どこかで本線との交差するはずだが、地図
を調べると古町駅で交差しているようだ。


果して古町で普通に平面交差していた。
しかもレールはつながっていて、本線の
車庫に路面電車が停まっている。
レールの幅と電圧が同じなら、乗り入れは
可能な理屈だが、本線電車と路面電車が同
じ線路を走る姿は、模型的でおもしろい。
同一会社なのでスムーズにいくのだろう。
松山駅前まで沿線を観察しながら歩く。


駅前から市内線に乗り道後温泉へ。
道後温泉の親鷺閣は既に見学済なので、
400円の入浴のみにする。脱衣場に大き
な無料ロッカーもあり、リュックやカメラ
バッグも収納収まった。セルフサービスの
湯茶の接待もあり、ゆっくりくつろげた。


隣のホテルのすし屋で松山ずしの昼食。
ご当地ならでは食事は旅の醍醐味。
夏ならタコの天ぷらは絶対お勧めです!










心もお腹も満たされ琴平へ。多度津で乗換
の時に見慣れない列車を見かけたがフリー
ゲージトレインの耐久テストだった!


例の石段を上り金刀比羅宮にお参りする。
突然の豪雨で足止めを食う。前回も大雨で
讃岐うどんを食べ損なったっけ。
30分ほどで雨もあがり、琴電で高松へ。


今回はうどんにもありつけ、明日の朝食と
おみやげを買い込み、旅の最終ランナー
サンライズ瀬戸の乗客となる。


あとは帰るだけなので書くことは何もない
由比付近で海の向うにサンライズを見る。
根府川で輝く海を見た。
サンライズ瀬戸は定刻、東京に着いた。


これで「早まわり日本一周最果ての旅」は
無事終わった。
途中1時間の遅れや30分遅れで接続不良
など、多少のアクシデントはあったが、
だいたい予定どおり実行できた。
足かけ9日間7400㎞の鉄道旅行で、
これだけ計画通り実行できる日本の鉄道
システムは、あらためてすごいと思う。

















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