サラリーマンからスタートアップのCEOに就任して、まもなく丸3年。
信頼を勝ち得たリーダーは3年目に飛躍する
Harvard Business Review 2024.10号(会員登録が必要)
S&P500企業の約1,400人のCEOを対象とした同研究では、以下とのこと。
- 新CEOがステークホルダーから信頼を獲得するには丸2年が必要
- 高い実績を残したCEOとそうでないCEOを比較した場合、就任後2年間で企業価値の変化に大きな差はないが
- 3年目から企業価値に大きな差を生じていく
極端に言えば、就任後2年間は誰がCEOであっても、大差はないと言える。
当事者の立場から言わせてもらえば、この2年間は厳しい。
信頼を獲得しきれていない環境下で
(仮に他と比較できた場合にも)大差のない実績しか出ていない中
3度の処遇評価(就任時、1年目終了時、2年目終了時)を受けることになる
よほど好業績だったり、急拡大している最中のスタートアップでもない限り
拡大を志向してピボット中のスタートアップ経営者に就任する場合の処遇決定を想像してみてほしい。
通常は、処遇ダウンだろう(私の意思で決めたが、私も年収ダウンで就任した)。
業績に余裕があるわけではない中、どこの馬の骨か分からない(当たり前だが、就任する会社での実績がない)人間を評価する場合、リスクを織り込んで低い処遇とすることを選択するケースの方が多いと思われる。
その意味では、会社における最高意思決定者として経営を任せてもらう立場の人間は、スタートラインに立った時点で、自身の環境を悪化させて、明るい未来を描く作業に入ることになる。
さらに厳しいことに、(新CEO自体は想像していないだろうが、統計的には)続く2年間で他社と圧倒的に差別化できるような企業価値向上は見込めないため、就任当初の処遇を3年間に渡って引きずられる可能性の方が高い。
更に危険なのは、新CEO自身が株主からの期待、自己が持つ自信や期待を業績に反映し、就任1~2年目の業績向上を織り込んで説明している場合だ。
実際(統計的には)なかなか思う通りの結果は出ないはずなので、自体は更に悪化する。株主からすれば
「新CEOは自分で言っていたことを達成できない(有言実行できない)人材だ」
と思ってしまう事態になるためだ。
就任時に処遇を下げた新CEOにとって、明確な実績が出ず、有言実行できていないと評価される中、処遇アップを株主との間で合意することは難しいのではないか。
書いてみると長文になってしまったこともあり、本件(新CEOの就任後の環境の難しさというメッセージを伝えたい)のためにもう少し話たいテーマもあるが、いったん今回はここまでとする。
なお、誤解しないで頂きたいのは、上記は私自身が辿った処遇評価の実態の回顧録ではなく、毎年、自分の処遇について考える際、私自身が迷いながら自己対話していた内容を、最新の経済研究研究の内容も交えて、サマライズしたものであること。
つまり、一部を除けば、私自身や取り巻く株主皆様の実態を表現したものではないことにご留意頂きたい。
新卒でベンチャーの経営者に投資をする立場(つまり株主側)を経験し
今はベンチャーの経営側(株主から評価される側)を経験する者として
より多くの経営者が幸せになり、より多くの投資家(株主)が幸せになる未来に向け
構造的な課題解決の一助として、何かしら参考になれば、これ幸いである。