丁度一ヶ月前の今日、実家の愛犬プリンが亡くなった。

前日、埼玉の母からプリンの調子が悪いと聞かされ久しぶりに様子を見に帰省。

父も仕事でおらず、母もちょっと家を空けなくてはならなかったので僕が面倒を見ることに。

外は暑いので、冷房をつけ居間から見える位置の玄関にいたプリンはの息はすでにあがっている。常に荒い息遣いで、細い身体は波を打っていた。

水もおやつも口にしようとしない。

静かな家の中にでハーハーという音だけが響く。

僕はただ身体をなで、話かけることしかできない。

1時間ほどそんなことをしながら、自分の喉の渇きを潤そうと台所にいた時、玄関から騒がしい音。

「なんだろう?」と覗くと、倒れているプリンが見えた。

駆けつけると、プリンの口から血の混じった唾液のような液体が大量に…

不規則な呼吸。強張った手足。

何度も名前を連呼し、身体をさすり、身体をたたき、母の携帯に電話し、動物病院に連れて行こうか、でも行きつけの病院も、近所の病院も知らないし、調べてる余裕なんかない、父に電話し、姉妹に電話し、大丈夫だから大丈夫だからな、無駄だと思いながら水をあげようとしたり、一瞬止まる喘ぎ、ゆする、また喘ぎだす…

数分ほどして少しづつ小さくなる喘ぎ。ゆすってもその息遣いは大きくならない。

テンパっている僕にできたのは、名前を呼び続け震えた身体をさするだけでした。

最期に小さく息を吸ったまま、プリンは吐き出さなかった。

玄関はとても静かになった。


唾液で汚れた顔と身体を綺麗に拭き取り、祖父の仏壇のある部屋でマットを敷き横たえる。見開いた眼を閉じてやり、ダランと力なく垂れた舌を口の中に戻し口を閉じる。1時間ほどそのまま。

僕はただ、
ごめんね
おつかれさま
ありがとね
ごめんねを言い続けた。泣いた。誰に気兼ねすることなく思いっきり泣いた。


しばらくして母が帰り、仕事を早退した妹が帰り、近所に嫁いだ姉が姪を連れて帰ってきた。
つられて泣きたくなかったので、台所に移動。


翌日、ペット専用の火葬場で焼く。綺麗な骨だった。享年11歳。人間だと還暦ぐらいだそうだ。

11年前父と妹が突然保健所に行き捨てられた犬をもらってきた。当時つねにビクビクしていた。


あれから一ヶ月過ぎて、やっと家族もプリンのいない日常に慣れてきた。思い出せば、それは悲しくなるけど…


11年間、玄関の前に座っていたプリン。
今は玄関がとても広く感じる。



行政書士 野村ようすけ事務所