急増するスマートフォン関連グッズに見るいくつかの課題 投資アドバイザー 北澤正規のブログ
スマートフォンの人気に伴い、スマートフォンを活用した周辺機器や、ケースをはじめとするスマートフォン関連グッズが急増している。だが、それら機器やグッズの動向を見ていると、いくつかの課題も見えてくる。最近実施された展示会イベントを取材して分かったスマートフォン周辺機器の実態について触れてみよう。
“実用“から“装飾”に変化するスマホケース
このところ急速にスマートフォンの人気が上昇しているというのは、今更説明するまでもない。その影響を受けているのは、キャリアやメーカーなど携帯電話関連の産業だけではない。スマートフォンの周辺機器が急激に増えており、他の産業にも、影響をもたらしつつあるのだ。最近、テレビや雑誌などで、スマートフォン向けのケースや、スマートフォンを用いた便利グッズの特集が組まれる機会が増えていることからも、その勢いと注目の高さを見て取ることができるだろう。
スマートフォン向け周辺機器の中でも、最も多くの人が利用しているものといえばケースなど、本体に装着するグッズだ。最近では、本体の傷を防ぐという目的だけでなく、シンプルなデザインのスマートフォンを、綺麗にあるいは可愛く着飾るために、ケースを購入する人も増えている。そうしたニーズに応えるべく、デザインに凝った多種多様なケースが登場しているようだ。
ケースだけでなく、ホームボタンを飾るシールや、イヤホンジャックに刺して飾りたてるイヤホンキャップなども増加。装着したままスマートフォンを操作できる手袋も、よりデザイン性の高いものが増えている。かつての携帯電話向けのストラップや“デコ電“同様、今後はスマートフォンをファッションとして“飾る”アイテムが増えていくと考えられる。
ケースを手掛けるメーカーも、ユーザー層の変化と共に変わりつつある。かつてはスマートフォンの購入者が男性主体であったことから、どちらかというとシンプルな男性向けデザインのグッズを手掛けるメーカーが、スマートフォンケースを手掛ける場合が多かった。だが、ここ1、2年で、スマートフォンの購入者が若年女性にも広がってきたことから、女性向けのファッションや雑貨を手掛けるメーカーも積極的に手掛けるようになってきた。
スマートフォンと連携する文具や玩具も急増
スマートフォンの外観だけでなく、中身にまで踏み込んだグッズも増えている。スマートフォンに専用のアプリをインストールして利用する文具や玩具がその代表格だ。
スマートフォン関連の文具といえば、スマートフォンのカメラで撮影してデジタル化できるノートが真っ先に挙げられる。最近では、線を引いた部分だけをデジタル化するペンや、紙を入れて撮影するとデジタル化できるクリアファイル、スマートフォンのカレンダーと連携できるシステム手帳のリフィルなどが登場。バリエーションが大きく広がっている。
よりスマートフォン活用の幅が広いのが玩具だ。スマートフォンはアプリを用いることで、音や演出などの効果をもたらすことが簡単にできる。また、Bluetoothなどを経由して外部機器をコントロールするリモコンとして活用することも可能だ。それゆえ、通常の玩具ではコスト的に難しい要素も、スマートフォンと連携することで手軽に実装できるのである。
さらに最近では、トレーディングカードやカプセルトイのフィギュアなどとスマートフォン、そしてAR(拡張現実)を組み合わせた玩具も増えている。例を挙げると、スマートフォンのカメラでカードやフィギュアを映すと、そこに仮想のフィギュアが現れたり、特別な演出が見られたりする、といった具合だ。
こうした取り組みは、持ち運びや利用者層、アプリ開発の自由度の観点などから、パソコンやコンシューマーゲーム機、従来の携帯電話などでは難しい部分があった。多くの人が常に携帯しており、アプリ開発の自由度も高いという条件がそろっているからこそ、スマートフォンと連携した機器が増えているといえよう。
“スマートフォングッズ“ではなく“iPhoneグッズ”
スマートフォンに関連する機器やグッズが大幅に増えていることに間違いないが、一方で、これらを見比べてみると、大きな課題が見えてくるのも事実だ。
特に大きな課題として挙げられるのが、“スマートフォン向け“とうたわれているグッズの多くが、実は“iPhone専用”だということだ。特にケースや玩具などでは、その傾向が顕著だ。さまざまな人に話を聞いている限り、Android搭載スマートフォンに対する取り組みはあまり積極的ではなく、これから対応を検討しようかという段階のところが少なくなかった。
その理由は、何と言ってもiPhoneがほぼ単一の機種であり、長期にわたって販売される上、よく売れているなど、周辺グッズを作る側にとって非常によい条件が整っていることにある。iPhoneの形状に合わせた機器だけを作っても販売数のボリュームが確保できるのでビジネスになるし、アプリを開発する上でも複数機種に対応する面倒さがない。
しかしながら、単純に市場シェアを見れば、Android対応機種の方が数が多く、スマートフォンの普及台数が増えれば増えるほど、そちらの市場を逃すことにもつながってくる。市場が急速に変化していく今後、手間が増えるとはいえ、iPhone以外の機種への対応も必然的に求められていくことになるだろうし、そこが勝負の分かれ目になってくるかもしれない。
そしてもう1つ、大きな課題として感じたのが、特にアプリを用いた周辺機器やグッズを手掛けているのは、スマートフォン対応に熱心なところを除き、比較的大手の企業に限られているということだ。アプリ開発のノウハウを持ち、投資ができる企業がまだまだ限られている点も、周辺機器ビジネスが拡大していく上で大きな課題となりそうだ。
スマートフォンのキャラクターグッズ急増の背景
スマートフォンと直接連携するわけではないが、スマートフォンで人気となったアプリのキャラクターを用いたグッズが増えつつあるということにも触れておこう。これまでにも、iPhoneで人気を博したゲーム「つみネコ」(ビースリー・ユナイテッド)のキャラクターがグッズ化されるという展開はあったが、最近ではスマートフォン人気と共にその動きが加速しているようだ。
特に近頃増えているのが、スマートフォンで“なめこ“を育てて収穫するという、異色の育成ゲーム「おさわり探偵なめこ栽培キット」(ビーワークス)の“なめこ”グッズだ。このゲームではさまざまな種類のなめこが登場することから、それらのキャラクターを用いたグッズを、複数の企業が手掛けるようになった。
世界的に人気を博しているスマートフォン発のゲーム「Angry Birds」(Rovio)も、日本で人形や文具などのグッズ展開を本格的に進めている。また登録数5000万を超えるなど、スマートフォンで非常に高い人気のコミュニケーションサービス「LINE」(NHN Japan)も、チャット(トーク)に用いる画像スタンプのキャラクターを用いた公式グッズを発売するなど、グッズ展開を進めていくようだ。
実は、こうしたスマートフォンのキャラクターグッズ展開は、日本だけでなく、海外でも積極的に進められているものだ。そしてその背景には、注目度の高さももちろんあるのだが、もう1つ、スマートフォンのアプリ販売自体が低調で収益性が低いため、キャラクターのライセンス提供による収益がビジネス上重要になっていることが、要素として挙げられる。スマートフォンのケースは積極的に購入するが、アプリにお金を支払うのには躊躇してしまう。そんなユーザー心理がキャラクターグッズの広まりに影響しているというのは、やや皮肉な話でもある。