「前門の虎 後門の狼」に備える?
事実は“ニュース”よりも奇なり
先日の「産経抄」に北朝鮮の金正恩氏について
次のようなコラムが載っていました。
「うーん、むべなるかな」
その内容はこうです――
産経新聞1面のコラム(2023年1月28日付)から引用します。
「中国は、朝鮮半島をチベットやウイグルのように扱えるよう、米国を(韓国から)撤収させたがっている」。こう語ったのが、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長(当時)だというから興味深い。米国のポンペオ前国務長官が、24日出版の回顧録で明かした2018年の米朝交渉時のエピソードである ▼金氏が、異文化・異民族でありながら中国に併合されたチベット自治区や新疆ウイグル自治区が、どんな悲惨な目に遭っているのかを把握していたことが分かる。金氏はさらに、中国の半島進出を防ぐために米軍の韓国駐留が必要だとも述べたという ▼日本の親中派政治家より、よほど現実的である。当時の韓国の文在寅政権が「従北政権」と指摘され、本音では在韓米軍の撤退を望んでいたとみられていることを思うと皮肉でもある。韓国の親北派は日本の親中派同様、北本国より夢想家なのだろう ▼「中国人は嘘つきだ」。回顧録によると金氏はこうも語った。10年近く前、意見交換した韓国の学者が中国について述べた言葉を思い出す。「韓国人は本当は中国が嫌いだ。何かと偉そうな態度をとる。だけど、韓国人には中国に対する恐怖心がDNAに刻み込まれている」 ▼くだんの学者いわく、支配を受け続けた歴史的背景から、中国に少々無理を言われても「仕方がない」と受け入れがちなのだという。相手を嫌い、警戒しながら依存する。何やら人間心理のあやのようだが、これも地政学的な宿命か ▼韓国では現在、尹錫悦大統領が米戦術核兵器の配備や自前の核保有を選択肢に挙げる。一方、岸田文雄首相はあくまで非核三原則に執着している。せめて「核を持ち込ませず」だけでも取り払えば、抑止力は格段に向上するのだが。
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(注:文中の青文字は、のむらりんどうによる)
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過去の歴史から見て、「現在の北朝鮮・韓国の為政者」は、他国には想像できないくらい複雑な心理状態にあることがわかる。
記事中に<▼くだんの学者いわく、支配を受け続けた歴史的背景から、中国に少々無理を言われても「仕方がない」と受け入れがちなのだという。相手を嫌い、警戒しながら依存する。何やら人間心理のあやのようだが、これも地政学的な宿命か>と。
だとすれば、「金氏のロケット」は当面の敵とする米国のみならず、至近に陣取る韓国や日本にもその矛先を向けるのは必定の計。しかし一方で、信頼を寄せる“後門の狼・中国”にいつ襲われないとも限らない。で、ミサイルを飛ばす実験は海を越えた大陸だけでなく、真上の上空にも飛ばしておく――。記事にはそのようなニュアンスも。
これを日本の戦国時代に移し替えれば、金氏は「義元を討った信長」や「秀頼を襲った家康」の行動に倣っているようにも見える。しかし現実にあるのはロケットだけで、地力はない。さらに隣国の習近平氏を秀吉になぞらえれば、はたして金氏は狸おやじと言われた戦略家の家康を真似ることが出来るか、それとも利休の轍を踏むか、動静から目が離せない。
しかし、それは歴史という時空を超えた「悪意識の転移」であり、人類の共生と未来を考えるとき、余りにも利己主義的・短絡的な思考でしかない。
国連の思惑が通じない「2022~2023年・世界戦国時代」――あれもこれも、日本から遠くない場所で1年余も続く「ロシア・ウクライナ戦争」の影が大である。
一方で、いつになれば「人類の霊性」が開花するか。平和で穏やかな世界は、決して諦めることのない人類の夢と希望なのだが。
(記 2023.2.4 令和5)