そこに ハツとしてゐる自分が居ました
その日
いつも通る商店街のなかほどに在る花屋さんの店先
そこに えも言はれぬ美しい「桔梗」の花が並んでゐたのです
小さな植木鉢のなかで息をしてゐたその花は うすい肌色をして
ゐました
気がつけば
しばらくぢつと立ちどまつて 花を眺める私が居たのです
「美しい!」
その鉢をてのひらに載せると 「いとおしさ」が胸に迫つて来ました……
紙のような繊細な
*
花の前には「桔梗」と書かれた文字が
遠くいにしへの空気が流れ来て……
あの万葉集や古今和歌集にもあらはれる「桔梗の花」
*
日本古来の花「桔梗」には ふくいくとしたやさしさが……
さくら や はす もさうで 日本人のやさしさを伝へてくれ
ます
桔梗には 「うすい肌色」のほかに「青」や「紫色」もあります
「あゝ 美しい!」
ひよつとして
私のこころは「古代の大和」に帰つていたのかも……
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トルコ桔梗
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(記 2022.8.30 令和4)