「90歳を過ぎたおばあさんは今までどのよ
うな人生をすごしてきたのだろう」と思って
おばあさんの話をきいてつくった
『おばあちゃんとさんぽみち』。

はじめる前は意思疎通がうまくできるか心配
でしたが、意外に難なくできました。

その時どのようにコミュニケーションをしたか。
どんな方法が役にたったか。
その方法を紹介しています。


【おばあさんとのコミュニケーション1】耳が聞こえないってどういうことだったのか
シニアサイン
【おばあさんとのコミュニケーション2】おじいさんのアルバム
●【おばあさんとのコミュニケーション3】百歳回想法(きょうのブログ)


  ○・。


毎日、甲子園では高校野球の熱い戦いが
繰り広げられている。今年は100回目。

どれほどのくやし涙とうれし涙が流れたことか。


100という数字はなんとも重みがある。


『人生100年時代』という言葉を最近み
るようになった。多くの人が100年の人
生を生きることが当たり前になる時代
がもうすぐ来るらしい。


長生きするだけが幸せではないが、元
気で健康に100歳まで生きられるなら、
生きてみたい。そして、同年代の仲間
と、今と未来について、語り合いたい。


そのとき、ぼくらは、どんな会話をするだろう?


  ○・。


2002年秋、97歳から104歳までの女性3人、
男性2人が、青梅慶友病院(老人病院)
の一室に集まった。


平均年齢100歳超えだが、みんな元気で
自分の心のうちをしっかりと語れる。


只ならぬ5人が、顔を合わせ、語り合った。


そこでの対話はがまとめられたのが
黒川由紀子著『百歳回想法』(木楽舎)。


15、16年前にこのような試み行われて
いたなんて、興奮してしまう。


この本を企画したのは黒川由紀子さん。
ぼくはこの本を読んで黒川さんの隠れ
ファンになり、密かに魅かれている。


写真もすごい。5人の表情が光り輝い
ている。写真を撮ったのは、写真集
『100歳王』の小野庄一さん。


  ○・。


ぼくはこの本の中の

『家族でもできる回想法入門』

を参考にしました。

 

今日は『百歳回想法』の中の『家族でもできる回想法入門』を要約し、紹介します。



●家族でもできる回想法入門


★1、高齢者のこころを理解する

・高齢者のこころは多様だ
 
 ・家族のお荷物になりたくない、迷惑を
  かけたくないと案じるこころ。
 ・世話になるよりも世話をしたいと望む
  こころ。
 ・社会の役に立ちたいと切望するこころ。
 ・楽になりたいと願うこころ。
  など


・こころは時に強く、時に弱くなる。

・からだとこころの境界がゆるやかになる。

・体を整えることでこころが整うことも
 あるし、その反対もある。


  ○・。


★2、家族でもできる回想法

・まずは、ほんの2、3分、祖父母や両親
 の語る言葉に耳を傾ける。その聞き方で
 2、3分の意味が大きく変わる。


・余裕があれば、系統的にこれまでの人生
 史を聞いてみる。


・手順
 1、話を聞く予定を相談して決める。
 2、その時、話を聞く目的を伝える。
 3、テーマは
   ・ふるさと実家、家族などのライフ
    ステージに沿ったテーマ

   ・ひな祭り、入学式、花見などの
    春夏秋冬のテーマ

   ・初めての自転車、映画、音楽などの
    身近なテーマ


  ○・。


★3、若い人が高齢者の話を聞く時に
  こころがけたいこと

 ・自分が本当に聞いてみたいこと、関心
  があることを、好奇心をもって聞く。

 ・どんな話もプレゼントを受けとるよう
  なつもりで聞く。

 ・未知の世界について、学ぶつもりで聞く

 ・特別扱いしないで、普通に自然に聞く

 ・高い声は聞きとりにくい、低めの

  はっきりした声で話す。

 ・わからないことは、知ったかぶりをし
  ないで質問する。

 ・自分のこころの動きを素直に見つめ、
  こころに浮かぶことを率直に聞く

 ・疲れないよう、脱水しないよう、
  体調に気を配る

 ・話を聞く日時は、相手の都合をよく聴き
  相談して決める。

 ・こちらの興味ばかりが先行しないよう
  注意し、無理に過去の話を聞き出さない。

 ・触れられたくない過去に、土足で
  踏み込まない。


  ○・。


きょうは、『百歳回想法』と『家族でもできる回想法入門』を紹介しまいした。

では、また~。


野村浩史

―――――――――
(補足)

『百歳回想法』の本の中での、回想法
の説明もあったので、少し要約しました。


●回想法とは何か?(百歳回想法より要約)

・回想法ではひとりぼっちにならない。そ
 れは、「良き聞き手」としての同行者が
 いるから。共感的な姿勢で心をこめて聞
 き入ることが基本。

・回想法では、回想しない選択肢を常に準
 備する。「過去に土足で踏み込まない」
 ことが大前提。むやみに過去を引き出し
 てはならない。

・回想法では過去の思い出、「記憶」にア
 クセスする。

・記憶は「写された写真」ではなく、「描
 かれた絵」。正しい記憶がそのまま残る
 ことはまれ。記憶が「正しいかどうか」
 はたいして重要ではない。記憶は今の心
 のメタファーともいえる。

・回想法では、「今」「未来」も「過去」
 と等しく重要。過去、現在、未来を自由
 自在に移動する心の旅路。

・回想法の大きな課題は、今の思いを丁寧
 に受け取って、未来をともに語り合って、
 豊かに輝かせること。

・回想法は、「自分の人生に意味を見出し
 かけがえの「人生の統合」「人生の意味」
 を見出す手段と位置づけられることもあ
 る。一方で、意味から解放され、混沌と
 したまとまりのないものも実は愛おしい
 と著者が強く感じることもある。


  ○・。


それでは、また~


野村浩史