糖尿病1型と血糖値コントロールのブログ

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糖尿病1型人間によるレポート
2026年1月50歳で劇症糖尿病1型の診断

焼肉を食べたら翌朝まで高血糖!?
高脂質・高タンパク食による「遅延型スパイク」の理由と対策

CGM(持続血糖測定器)データから解き明かす病態生理と実践アプローチ

「焼肉を食べたあと、数時間経っても血糖値が下がらない…」「翌朝になっても高血糖が続いている…」そんな経験はありませんか?
今回は、実際の食事内容とCGM(持続血糖測定)データをもとに、焼肉などの高脂質・高タンパクな食事によって起こる「遅延型高血糖(遅延型スパイク)」のメカニズムと対策を詳しく解説します。

1. 今回の食事内容と栄養素(PFC)バランス

今回のメニューは、各種部位のお肉、野菜、ご飯普通盛り、キムチ、そしてノンアルコールビールです。一見すると極端な過剰摂取ではないように見えますが、栄養素を分析すると「高脂質・高タンパク・中糖質」の組み合わせになっています。

食品名・部位 推定重量/数量 エネルギー たんぱく質 脂質 糖質
ジンギスカン 2枚 (約35g) 77 kcal 6.3g 5.6g 0.1g
牛カルビ 1枚 (約20g) 102 kcal 2.2g 10.0g 0.1g
牛ロース 1枚 (約20g) 50 kcal 3.8g 3.8g 0.1g
ハラミ 5枚 (約100g) 211 kcal 14.8g 16.1g 0.3g
牛タン 3枚 (約60g) 161 kcal 9.1g 13.0g 0.1g
キャベツ・もやし 約100g 22 kcal 1.5g 0.1g 2.8g
キムチ 約40g 18 kcal 1.3g 0.1g 2.1g
白米(普通盛り) 1杯 (約150g) 234 kcal 3.8g 0.5g 53.4g
焼肉のタレ 約35g 45 kcal 0.7g 0.2g 9.8g
ノンアルビール(零ICHI) 中ジョッキ(約400ml) 36 kcal 0.4g 0.0g 8.0g
合計 - 856 kcal 43.9g 49.4g 72.8g
【PFCバランスの特徴】
総カロリー約856 kcalのうち、脂質が約52%、タンパク質が約20%、炭水化物が約28%を占めています。エネルギーの半分以上が脂質由来という点が大きな特徴です。

2. なぜ血糖値が下がらない?遅延型高血糖の3つの理由

お米やうどんなどの単体炭水化物を食べた場合、食後30分〜1時間で血糖値のピークを迎えます。しかし、多量の脂質やタンパク質が合わさると、体の中で以下の3つの現象が起こります。

① 胃排出遅延(消化のスピードが激減)

脂質が小腸に届くと、消化管ホルモン(CCKなど)が分泌されて胃の動きが強力に抑えられます。これにより白米やタレの糖質が小腸へ送られるスピードが大幅に遅れ、長時間にわたって糖が吸収され続けることになります。

② 急性インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪化)

食事から摂った脂質により、血中の遊離脂肪酸(FFA)が高水準になります。脂肪酸が筋肉に取り込まれるとインスリンの作用を妨げるため、一時的にインスリンの効き目が低下し、血糖値が下がりづらくなります。

③ タンパク質による糖新生とグルカゴン分泌

肉に含まれる多量のタンパク質(アミノ酸)は、膵臓からのグルカゴン分泌を促します。グルカゴンは肝臓で新しい糖を作る「糖新生」を活性化させるため、夜間から翌朝にかけて体内で糖が作られ続けます。

3. CGM(持続血糖測定)データの解析結果

実際の測定数値を見ると、焼肉摂取後の血糖値推移の特徴が顕著にあらわれています。

平均血糖値 (AVG)
169 mg/dL
最高血糖値 (MAX)
271 mg/dL
目標範囲内時間 (TIR)
48 %
変動係数 (CV)
41.3 %

【経過時間ごとの血糖推移】
20:30(食事開始): 食前は70〜100 mg/dLと正常域で安定。
23:30(約3時間後): 通常の食事より遅いペースで上昇し、最高値の271 mg/dLに到達。
00:00〜06:00(深夜〜早朝): 通常なら下降する時間帯ですが、240〜265 mg/dLの極めて高い水準で横ばい(プラトー)が持続。
08:00(翌朝): 食事から10時間以上が経過しても220 mg/dL前後の高血糖が残存。

4. 焼肉での遅延スパイクを防ぐ5つの実践アプローチ

焼肉を楽しみつつ、食後の急上昇や翌朝までの高血糖を持続させないための具体的なアプローチです。

  1. 食物繊維の先行摂取: 食事の最初にキャベツ、もやし、キムチなどをしっかり食べ、小腸での糖吸収速度を和らげる。
  2. タレ・調味料の工夫: 砂糖が多く含まれる甘いタレを避け、塩、黒胡椒、レモン汁、ワサビなどの低糖質調味料を活用する。
  3. 高脂質部位と白米の同時摂取を減らす: カルビやハラミなどを食べる際は白米の量を控えめにする。脂質の少ないロースやジンギスカンを組み合わせるのも効果的。
  4. 食後の軽い運動(15〜20分の散歩): 食後30分〜1時間以内に軽く体を動かすことで、インスリンに頼らない筋肉への糖取り込み(GLUT4)を活性化させる。
  5. インスリン治療中の方の工夫: 追加入スリンの打つタイミングや分割投与(スクエア波・デュアルウェーブボラス等)について、あらかじめ主治医に相談しておく。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。医学的な診断、治療、薬やインスリン投与量の調整については、必ず専門の医療従事者にご相談ください。