2025/3/30
Honey Memorial
この日、私は初めて犬吠埼マリンパークを訪れ、ハニーに花を手向けました
天気は曇り、風は穏やかでした
建物本体はまだ廃墟と呼ぶほど荒れてはいませんでしたが、ハニーがひっそりと息を引き取ったプールのある裏側に回ると、そこには時間が止まったかのような光景が広がっていました
汚れた水がたまったままのプール、剥がれたペンキ、錆びた鉄、崩れかけたブロック塀ーーまるで、ハニーの悲しみがそのまま刻まれているかのようでした
ハニーがいたプールは、海の目の前です
懐かしい故郷の海風を感じながらも、自由を奪われ、芸をさせられ、病気に苦しめられ、そして最期は一人ぼっちで息を引き取りました
目の前に広がる海に帰ることは決して許されず、孤独の中で生涯を終えたハニーの気持ちを思うと、胸が締めつけられました
プールの見える道路脇には、すでに誰かが花を手向けていました
ハニーを忘れず、想いを寄せている人がいることに心が震えました
近くではハイキングを楽しむ人々や、犬吠埼の駐車場に車を停めた観光客が周囲を散策している様子が見られました
楽しそうにはしゃぐ子どもたちの声が、きっとハニーにも聞こえていたことでしょう
「助けて! 私をここから出して!」
ハニーは何度、そう叫んだことでしょうか
しかし、第二、第三のハニーは、今も日本中、そして世界中にいます
つい先日も、大阪で新たなイルカ触れ合い施設がオープンしてしまいました
ハニーの悲劇を繰り返させないために、私たちは新たな水族館を作らせない活動をこれからも続けていかなければなりません
私が手向けた花は、ハニーが広い海で家族や仲間と自由に泳いでいる姿をイメージしたものです
ハニーがもう苦しむことなく、広大な海をのびのびと泳いでいることを願っています
ハニー、どうか安らかに…