いま,松山に来ています。蒸し暑く梅雨真っ盛りですが,例年よりも雨が少なく渇水が心配されているそうです。

日本農業市場学会の大会に参加するために松山に来ているわけですが,昨日シンポジウムがあって,座長の大役も無事終えました。E大のNさんは,実行委員長と座長を兼ねて大活躍です。四国ではお遍路さんへのお接待が有名ですが,Nさんのおもてなしぶりも群を抜いていました。どうもありがとうございました。

シンポジウムのテーマは「グローバリゼーション下における地域流通の展開」です。4名の報告者が
はとても熱の入った報告してもらいました。また,2名のコメンテイターからも,議論を盛り上げる的確なコメントしてもらいました。座長兼コーディネータとしては,挑戦的で充実したシンポジウムになったと自己満足しています。

私としては,第1報告者のMさんに報告をお願いした,「グローバリズムとローカリズムの対抗と調整」にこのシンポジウムの含意がありました。グローバリゼーションによる富は一部の産業と階層に集中し,経済格差が拡大しています。そして,食料の品質不良,環境破壊,資源の食いつぶしなどの「貧困化」が進展しています。それらに対抗するために,市民や農業者はローカリゼーションや地域流通を進めているのです。

ローカリゼーションには様々な形態があります。欧米ではCSAと言われる代金前払い方式の産直があります。また,ファーマーズマーケットや農産物直売所は日米ともに隆盛しています。2005年農林業センサスによれば,全国には13,538箇所あり,年間利用者数は二億3千万人を超えています。世界通貨の暴力に対抗するために地域通貨の取り組みは世界中で広がっています。

ただ,現実の私たちの暮らしはグローバリゼーションのプラス面を利用しています。人間の欲望には限りがないので,よりおいしい食べ物や珍しい食品を世界中から取り寄せています。また,これまで安価だった飼料穀物を大量に輸入し,安い食肉や卵などの迂回生産を行ってきました。

一方,ローカリゼーションにも,排他主義や民族主義などのマイナス面があります。ヨーロッパでは若者の失業率が高いことを背景にして,移民を排除する「新右翼」勢力が台頭しているそうです。

つまり,グローバリゼーションとローカリゼーションを調整(adjustment)させながら,それぞれのマイナス面を軽減する仕組みや方策はないか,みんなで議論したいと考えたのでした。

大きな課題を取り扱ったシンポジウムですが,地元の果樹農業や食品産業の現状報告を織り込みながら,あまり空中戦にならなかったように思います。終了後の懇親会では,心地よく美酒を頂戴しました。

本日は51本の個別報告があります。道後温泉に入ることなく,夕方の飛行機で帰ることになりそうです。