
梅雨末期なのか,あちこちで激しい雨が降っています。
先日,ある研究例会において,食品安全委員会元専門委員のYさんのお話しを聞くことができました。テーマは,「BSEのリスク評価と食品安全委員会」でした。
はじめに,BSEの病原体であるプリオンの特徴とBSEの発生状況について説明されました。続いてBSEのリスクとして,①家畜伝染病対策(飼料から牛),②人獣共通感染症対策(牛から人),③公衆衛生対策(人から人)が指摘されました。特に,公衆衛生対策では英国で161名の変異型クロイツフェルトヤコブ病の発病者がいて,同感染者は推定3,800名,輸血や血液製剤の投与による潜在的感染者は6,000名と推定されるといいます。怖いですねー。
次に,日本におけるBSE対策の経緯を説明する中で,全頭検査の科学的合理性を指摘されました。そして,米国産牛肉輸入に関わって,プリオン専門調査会の報告書にある,「リスクの科学的同等性の評価は困難であり,輸入プログラムが遵守されると仮定した場合,リスクレベルの差は非常に小さい」という結論には,輸入再開時に輸出プログラムの実効性と遵守について検証結果の報告を受け,リスク管理機関(厚生労働省・農林水産省)は国民に報告する義務があるという付帯条項があったことを明示されました。
今後は,費用対効果の立場と健康保護を最優先する立場の調整が必要であることが挙げられました。
報告後の質疑では,BSE検査の料金(1頭当たり数千円),プリオン専門委員会にはリスク評価の専門家が一人もいないこと,委員決定時には任期も年齢制限もなかったこと,日本ではヤコブ病は指定感染病ですが,米国では指定されていないため実態が不明なことなどが明らかになりました。
Yさんのお話はとても分かり易かったです。私もかくありたいデス。
国民の健康問題が経済合理性の名の下で,蔑ろにされてはたまりません。今後もこの問題は注視したいです。
U.S.ビーフ食べますか?partⅡでした。