今日は夏至です。でも,東京は雨。日照が足りません。

先週,福岡に柿の産地調査に行ってきました。JA全農ふくれんや県庁の方にたいへんお世話になりました。ありがとうございました。

なぜ,いま柿の調査か?
実は2年に1回,柿の主産地が集まって開催される「柿研究大会」が,今年の8月に福岡市で行われるのです。そして,私が基調報告するように依頼されたのです。

福岡とは縁がある私ですが,柿に関してはこれまで正面から研究対象として取りあげたことがなかったので,これもいい機会かなぁーと軽い気持ちで引き受けました。

しかーし,現実はチョー重いのです。最近,柿の需要が伸び悩んでいることを背景にして,生産者価格は停滞もしくは下落傾向にあります。
特に昨年は,少雨傾向で台風による供給調整がなかったことや,秋の果実が一時期に集中し市場に出たこともあり,柿の卸売市場単価は例年の半分以下でした。これには,柿農家も本当に困っています。
産地の状況は別の機会に報告するにして,今日は消費に関してお話しします。

ところで,皆さんは柿を食べていますか?
2-3個ぺろりと食べる奇特な人はごく少数で,大部分の人は柿と同じ時期に出回るミカンやイチゴを食べているのではないでしょうか。

総務省の「家計調査年報」を調べると,高所得者と高齢者は平均以上に柿を食べていますが,若い人や低・中所得者は柿を食べていません。特に問題だと思うのは,いま30-40代の人が20-30年後の高齢者になったときに柿を食べるのかということです。いま食べていない人は,齢を重ねても食べないだろうと推測できます。これでは,柿の需要量は年々減少するばかりです。

産地では,「よい柿を作れば,売れる」という期待があるようです。また,他人まかせの市場対応のような印象を受けました。でも,今後柿産地は,本格的な需要開拓をしなければジリ貧になってしまうように思うのです。

その1つは写真にあるような柿栖や柿チップなどの加工食品です。ただ,柿には香りが無く,加工に適さないという人もいます。また,農協で聞いてびっくりしたのは,加工用柿の生産者価格は,生果の100分の1しかならないとのことです。
規格外の柿は選果時に結構出るそうですが,産業廃棄物としてゴミ処理費を出すよりマシというぐらいの評価しか受けていません。加工用の柿について,もう少しきちんとした評価はできないのでしょうか。

ところで,皆さんが食べているのは,富有柿のような甘柿ですか,それとも平核無(ひらたねなし)のような渋柿を脱渋した柿でしょうか?
岐阜や西日本では前者の甘柿が,東日本ではタネがないこともあり,後者が好まれているようです。人によって果実の硬さの好みも違うようです。

柿の需給問題はとってもディープです。