
久しぶりの更新です。言い訳は一杯ありますが,この時期の大学は本当に忙しいのです。事情を知らない方は,「もう春休みですね。いいですねー。」と言われます。現実は,たいへんなんですよー。
さて先日,農林水産省の全国地産地消推進フォーラム2006に参加しました。基調講演,記念講演,パネルディスカッションと盛りだくさんの内容でした。聴衆も550人を超えて,一時は立ち見になるほどの賑わいでした。担当者の方,お疲れ様でした。
個人的に興味深かったのは,東大の松井孝典さんの「地産地消の“地球学”的意味」というテーマの講演でした。その前にあった高名な先生の講演は,ちょっと私的には期待はずれで居眠りしておりました。エッセイはおもしろいのに・・・。
松井さんのお話をごく,ごく簡単に要約すれば次のとおりです。
人間は地球上の食物連鎖の頂点にいますが,20世紀初めに15億人だった人口は100年間で60億人,4倍になりました。これは,生物圏から人間圏への資源・物質循環のスピードを猛烈に速めた結果です。彼の計算では,それまでのスピードの10万倍になるそうです。
20世紀は特殊な時代であり,この状況は持続できないことは明らかです。
今後,人間が生き残るには,まずストック概念からフロー概念への見直し。そして,循環スピードを緩やかにすることが必要です。地産地消のように循環速度をゆっくりすることが大事で,それは人間が生物圏の一員として生きていくことと問題提起されました。
講演中,一生懸命メモをとりながら聞きました。松井さんはNatureにも論文を書いているそうなので,ちょっとさがしてみようと思います。
私も以前から,地球で人間だけが数を増やしていいのか思っていました。このまま行くと,松井さんが指摘するように,そのうちにモノをめぐって奪い合いが起こり,「お金があれば何でも買える」という共同幻想も破綻するのは目に見えています。
いきなり,江戸時代の生活に戻るのは困難だとしても,少しずつ循環のスピードを弱めることは必要だろうと思います。
とても勉強になった講演でした。