先日,M2のTくんと総合小売業のA社にヒアリングに行きました。

AはA社を中核に国内外157の企業で構成される小売企業グループです。グループ全体では,物販とサービス含めて4兆円の売り上げがあります。
そのA社の食品商品本部・GI開発部長のUさんに直接聞くことができました。眼光鋭く,頭の切れもとても良い方です。80分間も丁寧に応対してくださりました。ありがとうございました。なお,GIとはA社のPBのネームです。

A社では「農産物取り扱い宣言」という6項目の基本理念があり,その中核にはGAPを据えています。GAPはGood Agricultural Practiceの略で,日本では適正農業規範と訳されています。そしてGAPとは,O-157やサルモネラ属菌などの病原微生物や,カドミウムなどの重金属汚染,残留農薬,カビ毒,異物混入などの危害要因を分析して,栽培から収穫までの工程だけでなく,洗浄,選別,保管,出荷,輸送にいたるまでの各段階で対策を講じて,管理する方法をとりまとめたものです。

A社では,2001年以降に頻発した食品スキャンダル(BSE,食品偽装,無登録農薬使用など)を根絶するために,02年から取り組み始めて,04年には,生産者も理解しやすく,取り組みやすいようにビジュアル化したマニュアルも作成したそうです。このような取り組みは,いま農林水産省や生協でも取り組んでいますが,一歩も二歩も進んでいるといえます。

GAPの作成と同時に監査も行っています。二者監査ですが,監査員には有機認証機関の検査員に依頼しています。

問題は記帳や検査に関わるコストの上昇です。現在,86産地でGAPを取り組んでいるそうですが,GIブランド商品の採算はとれていません。

私が興味を引かれた話としては,残留農薬問題で輸入が激減した中国産野菜のことです。いま,欧米やオーストラリアの企業がGAPを使って生産・流通管理を急速に進めているとのことで,これが完成すれば日本国内への野菜輸出は再開し,輸入量は急増する可能性があるとのことでした。

あらゆる商品の世界市場化が進展する中で,国内農業の生き残りの途は険しいと思った調査でした。ただ,食べものの流通においては,性悪説よりも性善説の方がずっと楽でコストはかからないことは確かなようです。