ポール・サイモンも当然いろいろなアーティストから影響を受けたわけですが、1960年代といえばやはりボブ・ディランですね。客に迎合する曲ばかりが書かれていたこの時期にディランだけは違いました。自分の考えていることを自由に書き、好きなスタイルで歌うことをやってのけた、先駆者的なアーティストだったのです。ディランがいなければ今のS&Gもなかっただろうとポールははっきり言っています。もう一つS&Gにとって大切なアーティストはエヴァリー・ブラザースという兄弟ユニットです。彼らはカントリー系の出身ですがのちにロックンロールへ転向し、米国で大成功を収めています。彼らの織り成す兄弟ならではの美しいハーモニーはS&Gの曲作りに多大な影響を及ぼしました。確かに両者のハーモニーに類似するところはあると思います。当時売れ行きが良くなかったデビューアルバム「水曜の朝午前3時」を、ディランのプロテストソングとエヴァリー・ブラザーズをひっつけただけだ!と酷評する批評家もいました。
Wake Up Little Susie by The Everly Brothers