不妊治療中の皆さんは、治療のことを誰にどこまで話しているんだろう。
そんなテーマのサイトや、掲示板を見る機会がありますよね。
あたしは
・不妊治療中であること
→ 実両親、姉、学生時代の友人2~3人、地元の友人2~3人
札幌の友人2~3人
・体外(顕微)受精をしたこと
→ 実両親、同じく体外している友人1人
です。
義両親には、伝えるならば理解してもらわないと困るので言っていません。
60も過ぎた人たちに、理解をムリ強いするのもね…お互いつらいよね。
不妊治療歴は丸3年になるのですが。
最初の1年はほぼ投薬ナシのタイミング法
次の1年で排卵誘発+タイミング
ラスト1年がAIHと体外…
というカンジでゆっくり進んできたため、最初の1年の段階で友人に話していました。
★学生時代の友人
A … 独身。月1回会う。
B … 既婚、3人子持ち。年に2回くらい会う。
(その時は大抵Aも一緒)
Aにはいつも不妊治療で通院していることを話していた手前、滅多に来ないBが来た時にもその話になってしまい。
Bは「治療ってどんなことするのー?」と、興味を示した。
タイミング指導や、排卵誘発剤についての話をサラッとしただけで
「えー(そんなことまでするのー、の意)」という反応。
別に理解してもらうつもりもなく、聞かれたから話しただけ。
だから、その反応で「あ、Bは受け入れられないんだな」と判断。
それ以上話すのはやめようと思った。
そこで黙ってくれたらいいのに、3人も産んでるBは持論を展開。
「そんなことまでしないと妊娠できないの?」
「中途半端(=排卵誘発+タイミング法)なことしないでさ、いっそ体外やれば?
体外だったら、妊娠できるんでしょ?」
…当時、あたしは体外までは進んでなかったけど、この発言にはとても傷ついた。
「体外やれば妊娠できるってモンでもないんだよ(怒)」
と言うにとどめて、それ以降は別の話題を振ってその場は終わった。
元々年に2回くらいしか会えないのが幸い。
それからしばらく、Bに会う気持ちになれなかった。
連絡が来ても、都合が合わないフリをして結局、その後1年くらい会わなかった。
今年に入って、連絡が来て。
それ以来、しかも2人きりで(Aが来れなかった)会って、やっと自分の中でまたBに会えるようになったけど。
その間会ってたAには、「この間のBの発言に傷ついた」ということだけ告げ。
Aにも聞かれなきゃ、治療のことは話さないようになっていった。
聞かれても、ホントに表面上のことだけ。
先日Aに会ったので、妊娠したことを伝えた。
妊娠も流産も、全て話せる間柄なので、時期尚早だけど伝えた。
喜んではくれたのだけど…ふた言目には「自然にできたの?」と。
治療してるの知ってるから、なんだろうけど。
「自然にって言うか…ホルモン剤とかいっぱい飲んで、だけどね。
貼り薬とか膣座薬もしてるから、自然って言えるか微妙(笑)」
Aが、不妊治療の細かい治療方法について知らないことをいいことに、そういう言い方をした。
そしたら「そっかーよかったー!!いや、人工授精とか色々あるから…
そこまでしないで妊娠できてよかったね」
要は、「人工授精とか色々」な方法じゃない方法で授かった(と思ってる)ことをAは喜んでいたのでした。
AはBに比べればマイルドな人間で、妊娠経験がないから、そう強気なことは言わない。
それでも…あぁ、口には出さないけど不自然だと思ってたんだな、と。
ちょっと残念に思ったので、あえて「いや、人工授精はしたことあるよ?」と言ってやった(笑)
「え、そうなの…?」
「うん。人工授精なんてアレよ?自然妊娠と何も変わらないよ。
出してもらって、病院で入れてもらうだけの違いだもの」
と、理解はされなくてもAIHのハードルだけは下げてやろうかと(苦笑)
★地元の友人
(どちらも1~3年に1回くらい会うのみ)
C … 3人の子持ち、子宮頸管無力症による早産経験あり。
D … 不妊治療クリニックに通い、夫の乏精子症が分かった直後に自然妊娠、昨年出産。
A、Bと同じようにタイミング法だった頃に不妊治療をカミングアウト。
Dは頷いて聞いていたけど、Cは渋い表情。
「…もっと自然に構えてたらできるんじゃないの?
子どもって、もっと自然に来てくれるものだよ?」
まだ結婚2年目だったあたしに、20代前半で3人産み終えたCは優しく言った。
うん、30代折り返し地点のあたしに待ってる時間なんか無いよね。
Cの意見は何の苦もなく自然妊娠できた人の意見なので、聞かないことに(笑)
自然に来てくれないから治療しとるんじゃー。
Cが席を外していた間、唯一の不妊治療経験者(と言っても本格的な治療前に妊娠したんだけど)のDと語る。
「絶対、できるから。しかもこれから神谷に通うんでしょ?きっと大丈夫。」
と、励ましてくれるD。
とは言え、タイミング法もやり尽くした感しかなく、行き詰まってる…
と、今後の不安を口にした時に
「え、アンタまさか…体外までやるの?」
この一言で、あぁ不妊治療の入口に立った人でもそんな反応なのか、と。
確かに当時、まだ体外には進んでなかったけれど、神谷に通う以上そのつもりでいたあたし。
体外の治療経験はなかったけど、体外をやってる人に対してそんな風に思ったことはなかった。
あることないこと、他の地元の同級生に大げさに吹聴するタイプのD。
今後体外で妊娠しても、彼女にだけは絶対にウソをつこう、と思った。
何があろうと絶対に、友人には体外受精を口外しない、と決めた出来事でした。
もうひとつ、体外を口外しないでおこうと思った理由。
何かのサイトに、
「子どもの出生についての情報はその子のもの。
それを親であるからと言って、その子の意思関係なしに喋っていいとは思えない」
そうなんだよね。
例えば自分が実は親と血が繋がってないこととか、自分が知らないところで知らない人たちに親が話してたらつらいよね。
同じことだと思う。
体外で産まれた、ということも出生についての情報だもの。
だから、子どものために話すのをやめようと思った次第です。
実親は理解があるのと、治療に向かう支えになってくれたので、つい言ってしまいましたが…。
本来ならそれすらもNGですよね、上記の考え方だと。
最近、不育症関連のサイトなんか見ていると
「不妊と不育を一緒にされることがある。不妊と一緒にしないで!」
という、心ない発言を見る機会がある。
そりゃそうだ。不育症は授かるチカラがある人だもんね。
それに対して、特に不妊側として意見する気はない。
あたしなんか不妊+不育ダブルだからね(苦笑)
まだまだ不妊、そして高度生殖医療に対しての偏見や誤解は消えないんだろうな。
報道とかホントに怖い。
今やってる某有名クリニックの、義父と嫁の間で体外…ってニュースも
「1回の治療で妊娠率38%!」
1回ってどこまで?と思ったのはあたしだけでしょうか。
1回の採卵に対して?1回の移植に対して?ってね。
コレだけ見たら「体外受精ってすごいんだなあ」ってなるよね。
前述の友人Bみたいに「体外やれば妊娠できる」って思っちゃうわけだ。
そりゃそうだ、無精子症ってだけで奥さん側に原因がなければそのぐらいの確率でしょうね…。
色々書き殴りましたが、A~D全てがあたしの妊娠を心から喜んでくれる人たちです。
(まだC、Dには言ってないけど…)
そういう友人たちであることを、幸せに思っています。
友人だからって、妊娠に至るまでの途中経過は話す必要ないってこと。
理解なんてされないって。
コレは友達だろうが同じ女だろうが、経験してなきゃ絶対にムリ!
と、思ったらラクになりました。
分かってもらおうなんて思うな、と。
同じように、自分だって子育ての苦労は分からないんだから。
コレばっかりは「経験してるかしてないか」それだけなんだと。
そして、不妊治療をして高度生殖医療を受けたこと。
何のうしろめたさも、後悔もありません。
夫婦で決めて、進んできた道だから。
ただ、子どものために体外受精児であることは絶対に口外しない。
本人には…ちょっとまだ、伝えるかどうかまで考えてませんが。
きっと、生まれたら考えることになると思います。
いつか、そんな偏見がなくなる日が来たらいいな。
オープンに、私たち不妊治療をしているのって言える日本になるのかな。
そんな日が来たらいいな。