落ち葉の絨毯の上をパパと二人で歩く。サクサクっ。かわいた感触が靴底から伝わってくる。



お笑いのライブを見終わって、僕らは散歩がてら新宿御苑まで足を伸ばした。



紅葉した『広葉樹』の木々の間を、歩く。



さすがに四年生ともなると、恥ずかしくってもうパパとは手はつながない。



そのかわりに、パパは缶コーヒーを、僕は大好きなホットココアの缶を右手に持っている。



「マサル。生のお笑いはどないやった」

恋人たちの乗ったボートが浮かぶ池の前でパパが歩みを止めた。



「めちゃくちゃ笑ったよ。ほっぺたの筋肉がまだ痛いよ」



「そうか、そらよかったな」



「そういえば、パパ。劇場出るときに知らないおじいさんから声をかけられて話してたね。あの人、パパの知り合い?」



「ああ、東雲(しののめ)さんのことか。何十年ぶりかなあ。」



パパは遠くを眺めながら缶のフタを開けると、ゆっくりとコーヒーを一口飲んだ。


「昔えらいセワになったんよ。



パパがまだごっつ若うてなあ、



たいして実力もあらへんのに根拠のない自信だけあってなあ、



『高慢』な芸人やったころ、いろいろと教えてくれはったんや」



"芸人やったころ"!?


なんだって!



パパが"ゲ・イ・ニ・ン・"だったころ!



驚きのあまり僕はむせてしまい、ココアで洋服をよごしてしまった。



つづく