友達のために書いた小説をちらっと公開。
短編。
面白みのない恋愛小説。
女の子→楓
男の子→真
お題は診断メーカー様より。
『足の指先までも』
.
ひらりひらりと桜が舞う。
桜が満開の春だとはいえ、まだまだ肌寒いこの頃。
さむーい、だなんて言いながらカーディガンを萌え袖にして、そのくせ無駄に短いスカートを履いている女子高生たちの声が雑音のようだった。
(……きも、)
心の中で悪態をつきつつ、自分の首元を暖めてくれているマフラーに顔を埋める。
手袋を忘れたせいで冷えた指先を暖めようと、カーディガンのポケットに手を突っ込んだ。
「あれ、楓じゃん。なんだよそんな不機嫌そうな顔して。」
「うっさいな、こっちは寒いの。口を開きたくもないの。」
舞い散る桜に興味も示さずに校門に向かって歩いていると、左隣に自分より数センチ高い身長が並んだ。
優しそうな顔に穏やかな話し声。そして一応、私の彼氏。
普通彼女なら「んもう!◯◯くんっ!」みたいに彼氏の前で女々しくなったりかわいこぶったりするのだろうが、私はそんなことをする気は毛頭なかった。
幼い頃からの男勝りな性格は高校生になってもなおらなかったし、なおす気もなかった。
「うん、今日寒いもんね。」
「てかその喋り方やめてくんない?こないだだってどっちが彼氏でどっちが彼女かわかんない!って馬鹿にされたんだし。」
「それは楓の口が悪いからじゃない?」
「……そういうとこだけはストレートに言うよね。」
そりゃ、彼氏から可愛いって見られたいに決まってる。
むしろ、可愛いと思われたくないなんて思う彼女がいたらそれはもう別れたほうがいい。
だけど私は、素直になれないのだ。生まれつきだ、そういう人種なんだ!仕方ない!
「あー……ほんっとむり、テンション下がる。」
「え、僕何かした?ごめんね?」
「そーやってすぐ謝るとこも嫌い!女々しい!」
えええ、とすっかり眉を下げてしまった彼、真を横目で流し、桜並木の下を歩く。
綺麗だね、来年も来ようね、なんてそんなロマンチックな約束などするはずがない。しなくたって、学校へ行くまでに必ず通る道なのだから嫌でも来年も見ることになるのだから。
「……さみぃ。」
「そういう言葉遣いが悪いんじゃないかな?」
「さむい!」
「はいはい。」
ポケットに突っ込んでいた左手を、そっと引っ張りだされる。
何すんだ、寒い、と抗議をしようとしたが、その左手は真の右手に絡めとられてしまい、喉に言葉が引っかかってうまく出てこなかった。
「僕は体温が高いから、こうすれば寒くないよ。」
「……左手以外も寒いし。」
「じゃあ、左手以外も、ぜんぶぜんぶ、僕が暖めてあげるよ。」
「ふーん、ぜんぶ?」
「うん、手の先だけじゃなくて、足の指先までも。」
「ふは、馬鹿じゃねーの。そんなことが出来るのは暖房様だけですー!」
ちょっと口が悪くても、
ちょっと性格がひねくれてても、
ちょっと素直になれなくても。
どんな私でも好きでいてくれるって分かってるから、わがまま言えるんだ。
「……すき、」
「ん?」
小さく小さく、白い息と共に吐き出された言葉は、雑踏に混じって聞こえなかったらしい。
振り返った彼に舌を出し、笑ってやると、訳が分からないといった様子でまた眉を下げた。
もう言ってやらない、私らしくない、素直な気持ち。
ほら、ちゃんと。
( 足の指先までも )
……もちろん、心まで、あっためてくれるんでしょ?
短編。
面白みのない恋愛小説。
女の子→楓
男の子→真
お題は診断メーカー様より。
『足の指先までも』
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ひらりひらりと桜が舞う。
桜が満開の春だとはいえ、まだまだ肌寒いこの頃。
さむーい、だなんて言いながらカーディガンを萌え袖にして、そのくせ無駄に短いスカートを履いている女子高生たちの声が雑音のようだった。
(……きも、)
心の中で悪態をつきつつ、自分の首元を暖めてくれているマフラーに顔を埋める。
手袋を忘れたせいで冷えた指先を暖めようと、カーディガンのポケットに手を突っ込んだ。
「あれ、楓じゃん。なんだよそんな不機嫌そうな顔して。」
「うっさいな、こっちは寒いの。口を開きたくもないの。」
舞い散る桜に興味も示さずに校門に向かって歩いていると、左隣に自分より数センチ高い身長が並んだ。
優しそうな顔に穏やかな話し声。そして一応、私の彼氏。
普通彼女なら「んもう!◯◯くんっ!」みたいに彼氏の前で女々しくなったりかわいこぶったりするのだろうが、私はそんなことをする気は毛頭なかった。
幼い頃からの男勝りな性格は高校生になってもなおらなかったし、なおす気もなかった。
「うん、今日寒いもんね。」
「てかその喋り方やめてくんない?こないだだってどっちが彼氏でどっちが彼女かわかんない!って馬鹿にされたんだし。」
「それは楓の口が悪いからじゃない?」
「……そういうとこだけはストレートに言うよね。」
そりゃ、彼氏から可愛いって見られたいに決まってる。
むしろ、可愛いと思われたくないなんて思う彼女がいたらそれはもう別れたほうがいい。
だけど私は、素直になれないのだ。生まれつきだ、そういう人種なんだ!仕方ない!
「あー……ほんっとむり、テンション下がる。」
「え、僕何かした?ごめんね?」
「そーやってすぐ謝るとこも嫌い!女々しい!」
えええ、とすっかり眉を下げてしまった彼、真を横目で流し、桜並木の下を歩く。
綺麗だね、来年も来ようね、なんてそんなロマンチックな約束などするはずがない。しなくたって、学校へ行くまでに必ず通る道なのだから嫌でも来年も見ることになるのだから。
「……さみぃ。」
「そういう言葉遣いが悪いんじゃないかな?」
「さむい!」
「はいはい。」
ポケットに突っ込んでいた左手を、そっと引っ張りだされる。
何すんだ、寒い、と抗議をしようとしたが、その左手は真の右手に絡めとられてしまい、喉に言葉が引っかかってうまく出てこなかった。
「僕は体温が高いから、こうすれば寒くないよ。」
「……左手以外も寒いし。」
「じゃあ、左手以外も、ぜんぶぜんぶ、僕が暖めてあげるよ。」
「ふーん、ぜんぶ?」
「うん、手の先だけじゃなくて、足の指先までも。」
「ふは、馬鹿じゃねーの。そんなことが出来るのは暖房様だけですー!」
ちょっと口が悪くても、
ちょっと性格がひねくれてても、
ちょっと素直になれなくても。
どんな私でも好きでいてくれるって分かってるから、わがまま言えるんだ。
「……すき、」
「ん?」
小さく小さく、白い息と共に吐き出された言葉は、雑踏に混じって聞こえなかったらしい。
振り返った彼に舌を出し、笑ってやると、訳が分からないといった様子でまた眉を下げた。
もう言ってやらない、私らしくない、素直な気持ち。
ほら、ちゃんと。
( 足の指先までも )
……もちろん、心まで、あっためてくれるんでしょ?