『週刊☆誰?天野』 第一回『かれらの』 | 週刊☆乃見天野オフィシャルブログPowered by Ameba

『週刊☆誰?天野』 第一回『かれらの』

毎週木曜日は『週刊☆乃見』の日ハート

今週は、『乃見の周りにいるステキな人々』に勝手に乃見がコメントしちゃおう!と言う気ままなコーナーですっバラ

本当は、漫画に出てくるキャラや実際のスロ業界で活躍されてる方々について書いた方が皆さんに楽しんでもらえるかと思いますが、今回は第一回ということであえて、乃見がスロを楽しむきっかけになった、ステキな仲間達のことを書きたいと思いますので、よろしければお付き合いくださいマセ~リラックマ



第一回『かれらの』




2006年、夏。

そのホールにはいつも4人の男と1人の女がいた。



ひとりは長身で眼鏡、いつも印象的な帽子をかぶり、スロプロではなく、他に仕事があると言っているわりに毎日のようにホールに現れた。

もうひとりはぽっちゃりとしていて、ヒキが異様に強く、大勝ちした次の日はホールには現れなかった。

もうひとりは長身にぎょろりとした眼をした怪しい風体の男、いつも花柄のシャツと色の付いた奇妙なサングラスをしていた。

最後のひとりは人当たりの良い、穏やかな顔立ち。根っからスロットが好きというような感じで、熱があっても南国の6があれば終日平気でぶん回していた。

ひとりの女の人はその男のカノジョ。いつもヒキが強く大抵台上だけでなく足元にもカチ盛のコインを何箱か積んでいた。

その内、4人はスロットだけで食べていて、4人とも基本的にピンで打っていたのだけれど、イベント時や、収支が振るわない者がいるとノリをしてお互いを助けていた。当時の彼らの収支は大層なもので、貯金額や日給を聞く限り彼らより稼いでいる同世代の友人を私は知らなかった。

彼らは皆、ライバルで、友達で、戦友で、時には美味しく肥えた「カモ」。

1/3で吉宗(4号機)に⑥が入ると聞けば共に並び、ホールに一歩足を踏み入れるとお互い無言で牽制しあう不思議な関係。それでいて、助け合ったりもする。スロットをはじめギャンブルなんて人生においてこれっぽっちの興味もなかった私には彼らの関係をなんという言葉でくくればいいのか、よく分からなかった。

でも、彼らは一様に私を含めビギナーや、ホールに訪れるお年寄りや常連さんに優しかった。


目押しが苦手な人には、サラッとボーナス絵柄を揃えてやり、去り際に軽く肩を叩いて「頑張ってね」と声を掛けていった。

他の常連さんが「今日はあかんわ~」と声を掛けると、「鬼浜の○○番台、昨日400G回ってたから、今合計で700くらい回ってるよ。1~2万でも負けを埋めるつもりで打ってみなよ」とアドバイスをしたりする。

負けた人がいれば、その夜は麻雀。勝ったり負けたり。仲間内で取り合うだけではなく、基本的に皆勝っているから、外貨の獲得には困らない。

昼間はパチスロを打って、夜には麻雀。明け方トロッと眠って、翌日も朝イチからイベントを攻める。そんな、一般的な常識人が聞いたら眉を顰めそうな毎日。

もしもひとりだったら、そんな生活を続けることはとても辛くて寂しいことだと思う。でも、彼らにはそういう仲間(と呼んでよいのか分からないけれど)がいたから、毎日を楽しく過ごせたんだと思う。

短い間だったけれど、その中で、私がパチスロの「いろは」を学ぶことができたのはとても運が良かったと思う。

でも、そんな季節は長くは続かない。

やがて4号機の狂熱が冷め、時代が静かに動こうとしている時、私はスロットの楽しさを誰かに伝えたいと思い、あてはないけど彼らに別れを告げ、自分を育ててくれたあのホールを旅立つ事にした。

旅だちの日、最後にそのホールに立ち寄った。

私の出発点を、しっかりと見ておきたかったのだ。

喧噪の中、番長のシマ。NEW島唄のシマ。北斗のシマ。彼らはいた。
「ああ、今日か。そこの番長、朝イチリセット特訓っぽいの入ってたから、きっと上げだぜ?」
出発の日だというのに、そんなことを私に言う。いつもと同じ。ホールの中の会話。

「そこの島唄、トロピで鳴いて捨てられとるんよ。あれを打たんちゅうのは犯罪やでぇ」
自身も前回BIG単発だった台で、天井近くまでハマリながらひとりがそんなことを言う。思わず口元が綻ぶ。

「お、いいとこ来た。ちょっとこれ叩いてみ?」
北斗で19連目、画面ではちょうどケンシロウがオウァッと倒れたところ。BETボタンを叩けと言う。
「ノミコが叩くと、リンが出てくるからねぇ」
頭上に既に二箱積んで、一人がそんなことを言う。私は、BETをポチッと叩く。稲妻が走り、一瞬遅れて「ケーン!」の声。
「ふぅ、良かったぁ。でも、ノミコのこれがなくなると、淋しくなるな」私の指先なんてなくたって、勝ちっぱなしのクセに、そんなことを言う。

別れのはずなのに、ちっとも別れっぽくない旅立ち。じゃあね、と私もツイてないときに漫画喫茶に不貞腐れに行くときのような気軽さで、片手を上げる。

どこまでやれるか分からないけれど、この手で、漫画を描こう。あのホールを出る時に、私はそう決めたのだ。

時々思う。あの頃の皆、まだあのホールで打っているだろうか。今でも、私が訪ねていったら、「おう」と打ちながら片手を上げて、「そこの赤ドン、朝イチCZだったから、たぶん設定 上げだぜ?」なんて言ってくれるだろうか。

あれから、ずいぶんと時間が経ったように思うけれど、私はあの頃の彼らのなんとも形容し難い関係を、今も少しまぶしく思うのだった。



また来週っハートSeeYou



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