小麦に含まれる「グルテン」というタンパク質が原因で腸の炎症症状(ガス貯留、腹痛、下痢など)が起こる病態を「セリアック病」といいます。

100人に1人に起こるといわれている症状。

この腸の炎症症状だけでなく、全身疲労感・認知力低下・抑うつ症、関節炎など全身の炎症症状を伴う場合があります。

これが一般的に「リーキーガット症候群」とよんでいるものです。

今回の最新の研究では、いわゆる「リーキーガット症候群」の80名、「セリアック病」40名、健常者40名を対象に免疫系の検査をしています(Gut, July 2016 DOI: 10.1136/gutjnl-2016-311964)。


その結果、
「セリアック病」では腸の粘膜局所では細胞障害性の白血球(T細胞)は見られましたが、全身の免疫反応の活性化は見られなかったといいます。

なぜか「セリアック病」では腸の粘膜細胞がダメージを受けて「リーキーガット」になっているのにも関わらず、全身の炎症反応が起きていない、腸局所の炎症だけにとどまっています。

一方のいわゆる「リーキーガット症候群」では、腸の粘膜局所では細胞障害性の白血球(T細胞)は認められませんでしたが、全身の免疫反応の活性化は見られたといいます。

これは大変興味深い結果です。

どちらも「リーキーガット」を起こしているのに、片方では炎症は局所で一方では炎症は全身に及んでいます。

この違いはどこからくるのでしょうか?

この論文でもその違いについて示唆に富むようなことは何ひとつ書かれませんでしたが、「油の真実」あるいは「リーキーガット総集編」セミナーを受講された方はピンときたかも知れません。

同じストレスがあってもその適応や症状の出方に個人差が出るのも同じ理由からです。

やはりサイエンスというのは根本が分かるとすべてがつながるようになりますね(^O^)。