神経難病といわれるパーキンソン病。
いままで有機リン系の農薬との関連が報告されていました。
今回、有機塩素系の農薬(現在ではほとんど使用されていない)との関連を示唆する研究結果が報告されました( Neurology, 2015 DOI:10.1212/WNL.0000000000002254)。
研究対象はハワイ在住の449人の日系アメリカ人。
死亡までの30年の追跡調査です。
パーキンソン病は脳(中脳)の黒質とよばれる部分の脳細胞が死滅してきます。
約119名の脳にヘプタクロルエポキシドという有機塩素系殺虫剤の残留を確認したといいます。
この有機塩素系殺虫剤は、その健康障害のために現在では使用されていません。
ハワイではこの農薬をパイナップル産業が乱用していたらしく、乳牛の乳に混入したり、井戸水を汚染しています。
その牛乳を1日2杯以上飲む人は、それ以下のひとより、脳(中脳)の黒質とよばれる部分の脳細胞が40%少なかったといいます。
牛乳をよく飲んでいた人では、ヘプタクロルエポキシドの残留が90%、ほとんど牛乳を飲まないひとでも63%の残留があったといいます(飲料水の汚染)。
(これはいつもの相関関係を示す疫学調査であり、因果関係を直接証明したものではありません。)
このような脳の細胞の死滅のきっかけがこのような環境汚染物質であることは間違いないでしょう。
そのきっかけから最後の脳細胞の死滅までいくには、やはり体内のあの成分が関係しています。
マイケルジェイホックス、モハメドアリなどの多くの人々を苦しめたパーキンソン病。
この治療法もようやく見えてきました(*^。^*)。