新卒入社した会社を去り、ついに2ヶ月以上が過ぎた。退職のために、駆け回った時期、そして家族や親戚をはじめ、多くの人に支えられながら動いた日々は、濃い日々だった。
この時期に、いろいろな人に会い、長期的な付き合いとなった人は少ないけど、いろいろな話をすることが出来た。
恐らく、人生ではじめて自分の意思で挑戦したことかもしれない。
入社一年半で転職というのは、世間的に悪、最低でも3年だとされることだとわかっていたが、もう我慢ならなかった。
実は先日、高校生の弟が野球部を辞めた。その事について、彼も言っていたが、辞める直接の理由って、語るのがメチャクチャ難しい。というのは、いろいろな要素が絡み付いて、辞めるということになるからだ。
正直、ブラックかどうかで言えば、私のいたところなんて、
『ここで辞めたらただの負け犬!ブラック企業で修行した男の日常(著:楯岡悟朗)』
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に比べれば、屁みたいなものだと思う。
しかし、30代、40代が次々と辞め、中間管理職がいない状況だった。
僕のいた会社は、本業は、小売業で、農業資材専門店、農産物直売所をやっていた。
グループ企業で農業生産法人、太陽光発電売電会社、太陽光発電会社を持っていた。
私の入社時、従業員数90名、パートナー500名位の企業だった。
カンブリア宮殿にも出たことがあり、一見良かった。
しかし、僕は、この会社おかしいと感じた。何がおかしかったか列挙していきたい。
1、社長命令で、公共物や、他人の所有する木を斬り倒すほどのワンマンぶり。その為、行政とはよくもめる。
2、ヤギを飼育し、ミルクの販売もやっていたが、専門知識を持つ人がおらず、安全基準をクリアしているのかわからないで出していた。
3、店舗の人は、人によっては、1ヶ月に休みが一度あるかないかという状態だった。農業生産法人は、農繁期の4月から5月になると、朝5時半出勤。夜20時頃まで残業。残業代無し。しかも1ヶ月毎日出勤。休日出勤手当無し。代休無し。
4、入社2ヶ月の子に、イチゴ狩り観光事業の責任者をさせる。しかも、イチゴ栽培も、観光事業運営もした事のない子に。結果、その子は一年経たずで退職。
留学経験あるからという理由で、就労経験無い人を外国に送り、物資調達経路確保などさせる。
このように、人の能力にあった負荷のかけ方というのが出来ない会社だった。プレッシャーによって、人は成長するというが、真面目な人は潰れてしまう。入社一年経たず全滅という年もある程だと聞いた。
5、農業生産法人のビニルハウスで作業中に、10代の社員が倒れ、救急車で搬送される事態が起きたが、こういうケースは日常茶飯事。現場主任が救急車を手配したところ、農業生産法人取締役は、
「こんなことで救急車を呼ぶなんて、ちゃんちゃらおかしい。」と発言。
6、こんな状況で、従業員皆イライラしていて、居心地が悪い。
7、農薬、機械の販売において、人の生命にも関わる商品の取り扱いもあったが、商品知識、機械修理の研修など無いまま、現場入りだった。
OJTねぇ・・・。まあ、そういうものなのかな?でも、自助努力だけではどうにもならないほど、店で聞かれる事って、内容が豊富だった。それまで農業なんてしたことなかった身からすれば、てんでさっぱりなので、思いきって、社長に直訴してみた。
「新人の分際で、このような事を申し上げるのも、恐縮ではございますが、農薬の知識や、修理技術の研修というのも取り入れていただけないでしょうか。
店舗が関東圏、東北と32店舗以上となり、人員が割かれ、技術のある方がどんどんいなくなってしまっております。うちのお客様は、農家の方が多いので、20km先からいらっしゃる方というのは、珍しくありません。それなのに、対応出来る店長がいないという状況です。
自助努力で本を読んだり、機械をいじったりしておりますが、今までやって来て、蓄積された技術を次の世代に引き継ぐことも、会社のためだと思います。
いかがでしょうか。」
このように告げると、
「まあ、農薬の事とか難しいよね。普及所に聞くなり、店にいるお客様に聞くのがいいよ。お客様の方が詳しいから。」
「え?それでは、店で、
「刈払機直して。」
と言ってきたお客様が居たら、
「すみません。この中に、刈払機直せる方いらっしゃいませんか?」
って、聞いて、うちはやって来たんですか?」
「そこは、お客様と信頼関係築いて、誰に聞いたらいいか自分で把握していくんだ。」
と言われてしまった。実は、辞めようと私が強く思ったきっかけは、ぶっちぎりで1。多分、これは多くの方が納得されると思う。
問題は、次に大きい理由が最後の7なのだが、このブログを読まれた方は、どう思うのだろう。
正直、賛否両論あると思うし、あって良いと思う。企業は学校ではない。ITで働いていらっしゃる方は特にそうだと思うが、自分で日々勉強が必要で、それができない人間は辞めていくと。
確かにその通りだと思う。しかし、今まで20年以上、機械、農薬を扱い、農家と関わってきた実績、ノウハウがあるなら、引き継ぐべきではないだろうか。
人手不足で入社2年で店長にしたりなんて状況だったが、修理も、農薬知識も未熟な人しか居なくて、聞かれたことに答えられない状況なら、既存顧客も離れてしまう。
専門店としてどうなんだろうと考えた。この先、どうなるかわからない。年収の上がりも他社に比べ少ないし、社長の性格上、上げるつもりはなく、一族に資産集中させるため、会社の株まで操作していた。
この会社にいて、他社でもやっていけるスキルつくのか。不安だった。もっと言えば、販売職も、農業生産も性に合わなかった。僕は、一年浪人している分、未経験分野への挑戦へもハンデがある。辞めるなら、早めにしないといけないと、心から思った。
こうして、転職活動が始まった。これが入社2ヶ月目のことである。