『歪んだ愛』
齋藤飛鳥×白石麻衣
「…………ふふっ笑」
(ああ、やっと飛鳥に会える!
今日も仕事頑張って良かったなぁ。)
「………飛鳥?ふふっ、ただいま!」ガチャ
「…………」
(……今日も冷たいなぁ。ま、そのうち慣れるでしょ。)
「はい。」カタッ
「いらない。」
「なんで?食べないと死んじゃうよ?」
「……死んだっていい。いらない。」
「………そう。」
(……なんでこんなに反抗的な態度とるんだろ。私何もしてないのに。
ただ、飛鳥と一緒に居たいだけなのに。)
「あ、今日ね、飛鳥の好きそうな服見つけたんだ〜。」
「………」
「今度買ってくるからさ。着てみて!」
「………」
「飛鳥って、ボーイッシュなのが似合うと思うんだよね。セットアップなんかも…」
「ねえ。」
(………飛鳥が自分から喋った!)
「うん!なになに?」
「……いつになったら帰してくれるの?」
「……え?」
「私、ずっとここにいるの?この薄暗い地下室に。」
「そうだけど。」
「………はぁ……」
「え、私何かおかしなこと言ってる?」
「……しーさんはさ、何がしたいの?」
「え?」
「だから、私をこんなところに監禁して、何がしたいのって。」
「……飛鳥が悪いんだよ?」
「……は?」
「私はずっと飛鳥のことを見てたのに。ずっと好きだったのに。
………後から入った後輩なんかにデレデレしちゃって。」
「……しーさんだって一緒じゃん。」
「うるさい!!」
「っ、」ビクッ
「飛鳥に私の何がわかるの?私がどれだけ飛鳥のことを考えてたのかわかるの!?
私が!どんだけ辛い思いをしたのかわかるのっ!?」
「……し、しーさ」
「わかってるよ。飛鳥には私の気持ちなんかわかんないんでしょ。」
「そんなこと」
「でもいいこと思いついちゃったんだ。
……わからないなら、わからせればいいんだよ。」
「ねえしーさ」
「これからずーっと、飛鳥は私と一緒にいるの。
監禁するのは可哀想だけど、そうしないと飛鳥が他の人のとこ行っちゃうから。」
「行かないから……」
「飛鳥は私のことだけ考えてればいいの。
私は飛鳥のことが好きで、飛鳥も私のことが好き。ハッピーエンドじゃん笑」
「……でも、こんなの間違ってる…」
「何?口答え?」
「……ひっ、」
「私だって調教したい訳じゃないんだよ。
……でも、そんな態度とるんだったら……お仕置きがいるかな。」
「まって、ごめん、ごめんしーさん、っ」
「ふふ、そんなに怖がらなくていいんだよ。だって私たちは愛し合ってるんだから。」
『赤の他人』
与田祐希×西野七瀬
「………あ、七瀬さん!」
ブンブンと手を振れば、ニッコリと笑って小さく手を振り返してくれる七瀬さん。
「お疲れ、祐希。
学校どうだった?」
「まあ、普通でした。
でも七瀬さんに会えたからいいんです!」
「そっか笑」
(実を言うと、この人のことはあまり知らない。親戚でもないし、学校の先生でもないし、全くの赤の他人。)
「あの……今日も…///」
「ああ、ええよ。ほら。」
「………へへっ///」ギュッ
(こうやってこの人と手を繋いで帰るのがもはや日課になってるんだから、人生って不思議だなぁ。)
「七瀬さんは、今日どうでしたか?」
「ななも普通かなぁ笑
あ、祐希といるときは楽しいんだけど。」
「え、七瀬さんもそう思っててくれたんですか?なんか嬉しいです!笑」
「ふふっ、ほんまに祐希は可愛いなぁ笑」
(私はこの人のことを『七瀬さん』、
この人は私のことを『祐希』と呼ぶ。)
(……でもよくよく考えれば、私がこの人について知っていることは本当にそれくらいなのだ。)
(出身、年齢、職業、好きなもの、趣味、実生活………
本当に挙げ出したらキリがない。)
(簡単に言えば、私はこの人の名前しか知らない。………あと性別。あ、関西弁使ってるから関西出身かも。)
「そういえば七瀬さんって、この辺に住んでるんですか?」
「………どうやろな笑」
(こんな風に七瀬さんに関することを聞けば、こうやってはぐらかされるばかりで、何も話そうとはしてくれない。)
「まあ別にどこに住んでても、こうやって会ってくれるだけで嬉しいです笑」
「そう?笑」
「はい!あ、そろそろ家だ……」
「………そやなぁ…」
(この人のことはほとんど知らない、いわゆる赤の他人。普通の関係性では無いことは明らかだ。
………それなのになぜ私が、毎日この人と一緒に帰るのか。)
「…はぁ、『あの人』もう帰ってきてるかなぁ……」
「…………」
(それは、私も『普通』じゃないから。)
「あーあ、家、帰りたくないなぁ……。
ずっと、このまま七瀬さんといられたらどれだけ楽しいか……なんて。」
「…………」
「冗談です。
じゃ………七瀬さん、さよなら…」
(……今日もまた怒鳴られるのかな。
あーあ、私の人生ってほんと最悪。)
「…………祐希。」
「あ、はい。」
(どうしたんだろう。
いつも私を見送ったら、すぐにどっかへ行っちゃうのに……)
「……来る?」
「え?」
「ななと一緒に来る?」
「え………どういうことですか?」
「『あの人』となな。
……祐希は、どっちを選ぶ?」
「それは……」
(小学校でも習った。
『知らない人には着いていかないようにしましょう。』
……私には七瀬さんが『知らない人』なのか、『知り合い』と呼んでいいのかがわからなかった。)
(でも、1つだけ確かなことがある。
それは………)
「ななと一緒に来る?」
(その提案は私にとって、とても魅力的なものであるということだ。)
「………はい、行きたいです。」
「………そっか笑
じゃ、行こっか。」
「はい!」ギュッ
(……この不思議な関係性はいつまで続くのだろうか。
明日?1ヶ月後?1年後?10年後?
……それとも、死ぬまで?)
『よだ』
与田祐希×大園桃子
(……もうかれこれ2時間ぐらい歩いた気がするんだけどな…)
「………ずっとお花畑……」
「綺麗でしょ?」
「まあ、綺麗だけどさ……」
「そんなことより、ほら。行くよ。」ギュッ
(……ここはどこなんだろう。
…この『与田』と名乗る子は、一体誰なんだろう。)
「ねえ、よだ。」
「何?」
「ここどこ?」
「…………」スタスタ
(さっきからずっとこの調子だ。
この場所について訊ねたり、彼女について訪ねても、黙り込むだけ。)
「ねえ、なんで手繋いでるの?」
「桃子とはぐれたら駄目だから。」
「……ふーん、変なの。」
「…………」スタスタ
(………はぁ。
そういえば、よだと出会った時ぐらいから記憶が曖昧なんだよなぁ。
えーと、何してたんだっけ……)
" 桃子 "
「え?」
「え?」
「よだ、今呼んだ?」
「呼んでないけど。」
「あ、そう……」
(あれ、でも確かに呼ばれた気がするんだけどな……)
" 桃子 "
(……やっぱり幻覚なんかじゃない!誰かが桃子を呼んでる!
にしても……聞き覚えのあるような……)
" 桃子 "
(………よだ?)
「…………」
「あのさ、よだ……」
「あ、」
「え?」
「あれ見える?」
「………あれ何?」
「『輪廻の輪』だよ。今から桃子はあれをくぐるの。」
「え、遠くない?」
「あれじゃなくて、また別のがあるの。」
「ふーん。」
(なんか大事なことを忘れてる気がするけど………まあいっか。)
" 桃子 "
(……っ!またこの声……
さっきからずっと………あれ?さっき?)
「っ!!」バッ
「どうしたの?」
「……あなた、誰?」
「…………」
「桃子、『与田祐希』って人を知ってる。
…でも、あなたは与田祐希じゃない。」
「…………」
「あなた、誰なの?」
「…………はぁ、もう少し………のに…」
「え、なんて?あ、まっ……」
(無限に広がる花が、よだが、灰になってく…………暗い…怖い、怖いよ………)
(誰か……)
「………こ…、桃子?」
「………え、あ……?」
「…っ!桃子っ!!」
「よ、だ?」
「よかった……よかったぁ……」
「…なんで…泣いてるの?」
「……桃子がっ、車に、っう、轢かれて……もうダメかと………」
「……え?……う、」ズキッ
「あ…まだ安静にしとかなきゃ!」
(………ここは、病室…?
さっきのお花畑は?よだは?)
(……あ、そういえば……)
" もう少しで、魂が手に入ったのに "
(………魂。あの『よだ』は、一体誰だったんだろう…)
――――――――――
なんかいつも世界観が唐突に変わるんですけど、分かりにくかったらすいません!
おしまい。


