10年憧れ続けた、私にとって初めての優勝パレード。その喜びと思いがけない悲しみとで、自分がどんな顔をして見るのか想像もできず、前日まで悩んで、自宅で見ることを選びそうになっていました。そこに所沢在住の方からお声を掛けていただき、ご好意ですぐそばから見ることができました。
待つ間、話していて泣きそうになりながらも、とにかく彼らを笑顔で迎えることを心に決めました。



浅村は、私達のいる場所とは反対側を向いて、遠足のバスでお腹が痛くなった子みたいに座っていました。
「あさむー!」
振り返った浅村は、頷くようにして、手を振り返してくれました。
優勝おめでとう、浅村さん。ライオンズファンになって初めての優勝が決まった時、札幌ドームのスタンドで着ていたユニは背番号3でした。あの日の喜びを胸に、これからもライオンズを応援していきます。
クロージングセレモニーで逃げ出したくなる気がして、サンクスフェスタには行かないつもりでしたが、友達と一緒だった成り行きでメットライフドームへ向かいました。

「今日この場で、ファンの皆さんにご挨拶させていただきます。約1カ月間、本当に色々悩んできました。ライオンズに10年前、ドラフト3位で指名していただき、今日ここまで本当に成長させてくれたこの球団に対して、本当にFAで出ていいものなのか、正直本当に悩みました。

でも自分の中でこの世界にいる以上、挑戦し続けたいという素直な気持ちと、もっと自分を一回りや二回り大きくしたいと思い、不安ではありましたけど、決断いたしました。

そして、何よりファンの皆さんのご声援があっての浅村栄斗だと思っています。この感謝の気持ちを忘れず来年からも必死に頑張ります。本当に10年間お世話になりました。ありがとうございました。」

浅村が今、言葉でファンを納得させるのは難しいかもしれない。でも、いつか、私達に向けた後ろ姿に、何かが見えればそれでいい。それが浅村らしさでもあります。
2016年の同じ日。岸が去り、辻さんが登場した瞬間に空気が変わって、監督就任挨拶で「弱ったチームには新しい若い力が必要です」そう言って、新キャプテン浅村が、ちょっと頼りなく、ここに立ちました。
そして2018年。キャプテンを務め上げ、優勝へと導いたあなたに、心から拍手と感謝の気持ちを贈りたい。それがパレード直前に溢れ出そうになった涙の意味だったように思います。
選手として成長していく過程を追いながら、私もファンとして少し強くなれました。この10年を共にできたのはライオンズファン。その一人であることをプライドにしてもいいですよね?
私自身がプロ野球の仕事に携わった時期に、浅村選手とお会いできたことは、特別な思い出として、これからどんな仕事をする上でも大切にしていきたいと思います。
わずか1年でも、憧れの松井稼頭央さんと同じユニフォームを着てグラウンドに立つことができて良かったね。引退セレモニーで、昨日ブログに書いた「Daydream Believer」(Susan Boyle)が流れたのは不意討ちでした。松井二軍監督が見出だし育てる新たな才能を心待ちにしたいと思います。

