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これ、かわいい

短歌。

唐突にマイク・カメラを向けられて瓦礫の受け入れ訊かれ戸惑ふ (長野県)沓掛喜久男 朝日新聞4月8日(日) 人間性の一面を提示した短歌として目にとまった。 

ネット麻雀最強の男と打つ。



 今はインターネットで麻雀できる(無料だが、場合により有料)。
 オンラインで結ばれた4人が、実際の牌を握る代わりに、配牌とツモがランダムになるように設定されたプログラム上で、上がりを競う。インターネット麻雀に対して世間では賛否や好悪の意見があるが、私は割合楽しんで打っている。

 このオンライン麻雀の中に「天鳳」というのがあり、ここで打っている人たちが一番強いとされている。「天鳳」の競技人口は公称150万人(一人で複数登録が可能なので、50万~100万人ぐらいだろうか)。その頂点に立つのが「天鳳位」で、初めて「天鳳位」に就いたのがASAPINというハンドルネームの大学生である(以後天鳳位は二人出ている)。
 回数を打てば地位が上がっていくネット麻雀もあるが、「天鳳」の場合は回数をこなしても地位が上がるわけではない。逆に下がる場合もある。好成績を長期間維持し続けて初めて頂点に立てるものだ(ASAPINの場合は4800半荘程度)。たった一つの名人位を目指して棋士が何年も戦い続ける将棋の順位戦に似ている。

 初めてASAPINを見たのはニコニコ生放送だった。プロとの優劣を競うネット麻雀の企画(天鳳名人戦)で負けたASAPINは、「断髪式」と称してバリカンで丸刈りにされていた。私はその時のASAPINに好感を持った。シャイな感じのする、人に気を遣う好青年だった。
 2012年4月1日からASAPINが京都の麻雀クラブで働き始めると知った。東京の大学にいると聞いていたが、卒業したらしい。地元が京都なのだろうか? 私も前の年から京都で働き始めていた。ツィッターで自己紹介、さらに少しやりとりした後、早速その麻雀クラブに行ってみた。
 ASAPINは少し伸びた髪を茶色に染めていた。印象はニコニコ生放送で見た時と変わらなかった。

 さて、ASAPINと打つ時が来た。ネット麻雀が主戦場のASAPINだから、卓のさばき方に内心不安を持っていたのだが、杞憂だった。むしろ美しい牌さばきだった。少しメンバー経験があるにしても、やはり生まれ持ったセンスもあるのだろう。
 ゲームの展開は、先行者をASAPINが南場の親でまくったものの、オーラスでその相手に親マンを打ち込み、再度まくられるというものだった。
 半荘一回だけだったが、いくつか印象が残った。やはり押し引きのバランスが基本として身にしみこんでいる強い麻雀である。
 ただ、本調子ではないのではないか。本調子ならオーラスで親マンを打ち込んだりしないだろう。「天鳳名人戦」も見ていたが、同じ天鳳位の「マーク2」さんと比べると、疑問に思える手筋がかなりあった。本人も「天鳳」と「天鳳名人戦」とではルールが違うので、修正しようと思っていたが、修正できないままに「天鳳名人戦」を戦ってしまったと言っていた、と確か福地誠さんが発言していたと思う。
 その時から長い不調をひきずっているのではないか。

 今、ASAPINは「天鳳」の三人麻雀を打っている(三人麻雀でも「天鳳位」に就こうと思っているのかもしれない)。ツィッターを読むと、五段から四段に落ちたらしい。また、別のフリー麻雀でも大敗している。「牌譜を見直す」とツィッターに書いていたが、不調というものは自分を見直せば見直すほど深みにはまる。いちばんいいのは休むことなのだが、麻雀を仕事にしたASAPINにはそれがしにくいだろう。

 昨日ツィッターの返事に「僕からどんどん搾取してください」とあった。おそらく心の中には鬱屈するものがあるのだろう。それでも人に気を遣ういい男である。早く実力回復してほしい。

 ASAPINについてはまだ書きたいことがあるので、また続きを書く予定。