勤めていた頃

 

職場で 気が合った友は

 

野菜作りが とても上手でした

 

 

ご主人さんとも 顔見知りで

 

何か出来ると「持っていってやれや」と言ってくれ 

 

辞めた後も 新鮮な野菜を 持って来てくれました

 

 

今回 久しぶりに電話すると

 

「亡くなったがよ・・」

 

友の力ない声が 耳に入った

 

「エ~・・・うそよ!」

 

取り合えず 車を走らせました

 

 

「なんで 知らせてくれんかったのよ」

 

「アンタが こっちにおらんけん・・・」

 

 

話せば ご主人の半年前に 

 

娘さんも 亡くしていた 

 

驚きと共に 絶句してしまった

 

 

娘さんの子は いろいろあって 今うつ状態

 

ご主人は 会社を解雇され 無職

 

 

話を聞けば 聞くほど

 

坂道を 転がるような 出来事ばかり

 

 

友の長男は 若い時に亡くなっていて

 

次男は 離婚して 遠くに住んでいる

 

 

「アンタと話して 気が少し楽になったわい」

 

笑顔になった 友が 差し出しながら

 

「娘もおらんなったし やる子もおらん

 

アンタ良かったら 使ってや」

 

手渡されたのは ブローチでした

 

 

友の心境を思うと 

 

「有難う 大切に使わせてもらうよ」

 

そう言うのが 精一杯でした

 

 

宅配でグッズが 届くと

 

「持って 帰ってや」

 

「いらんよ 自分で使って~」「そう 言いなはんなや」

 

帰りのお土産が 沢山になった

 

 

辛く こんな人生でも 生きていかねばならぬ  

 

友を思うと 心が 深く沈む

 

 

 

健康を祈る それしか できなかった