○「エビデンス」ってなんだろう

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大阪大学大学院医学系研究科 大野智医師
私はこの言葉、がんになってから知りました。
エビデンスが高いとか低いとかの表現をされますが、それの意味を知ることがとても大事だと思いました。
エビデンスは科学的根拠という意味です。
科学的根拠とは?
常にそれが誰にでも再現できる事、再現性、普遍性があるという事です。
どの様にエビデンスのレベルを判断すれば良いのか、信頼性を解説し、そのエビデンスをどの様に治療方針の意思決定に取り入れていけば良いのかを考えていきます。
治療薬を開発する際、細胞レベルや動物実験で見つけた薬効成分が人の薬になるのに数万分の1。
それから治験によって薬として出発点に立つのです。
治験では数百人から数千人のデータを取ります。
ランダム化比較試験という方法で、治験を受ける方をランダムに従来通りの薬で治療、もう一方を新薬で治療し比較します。
何度も繰り返し、効果が認められるのかそうでないのかを見極め比較検討されます。
このランダム化比較試験をクリアしたものが、エビデンスが高いと言えるのです。
それには膨大なデータや多くの患者さんのデータ、時間を掛けて行われるので、科学的根拠となるわけです。
頂いた資料から抜粋しました。
このランダム化比較試験をしても、100%の治療法も無いですが、0%の治療法もないのです。
(プラセボ効果)
0%<臨床試験の結果<100%
医療の不確実性とも言えます。
殆どの医療行為はグレーゾーンだという事です。
治療方針を決める際、医師と患者とよく話し合い決定します。
患者さんが何が大事で何が大事でないかという判断をします。
ある治療法に関心を持った時実施する前に、その目的は何か?自分自身の価値観と照らし合わせて判断します。
この方針が間違いない、正しいと思っても、決断の変更や取り消しはいつでも出来る余地を残す事が大切です。
この判断をするのにエビデンスは結構重要となります。
エビデンスには信頼性の高いものと低いものがあります。
ただ高いものであっても不確実性は残るのです。
意思決定に於いて患者自身の好みや価値観を自身に問いかける事が大切です。
エビデンスが高いのは、ランダム化比較試験と膨大な治験と臨床試験を経て一定の効果のあるものです。
低いというのは例えそれが権威ある医師であっても、多くの科学的データの実績が無く一個人の意見であれば、低いと言わざるを得ません。
しかし、例えエビデンスの低いものであっても全く効かない0%であるという事が無いのが、医療の不確実性なのです。
この事から、標準治療というのはエビデンスの高い治療法であると分かります。
情報をネット検索するとエビデンスの高いものから低いものが混在しています。
低いもの程成功例ばかりが強調されています。
私が告知されたばかりの時、主治医から標準治療を勧められそのまま何も考えず受け入れました。
何の知識もありませんでした。
主治医は巷にある民間療法なども耳に入るでしょうが、現時点で1番効果的な治療法ですと説明されたのを覚えています。
私は標準治療を選択したことに後悔はありません。標準治療である放射線治療により放射線肺炎にはなりましたが、大元の癌を取り除く事が出来たのと、局所再発防止に必ず役立っていると考えてるからです。
大野先生が臨床の場でのお話
ある患者がエビデンスの低い新しい治療法について質問してきた時の対処法
患者の期待を潰さないように、事実のみを淡々と説明します。(正確な情報)
その時患者の意思を決して否定しません。
例え話で「私が芸能人と結婚する可能性は0では無いがかなり低いですよね。」と説明すると納得されるそうです。
患者とその家族の価値観の違いがある場合
本人の意思決定を最重要視するが、本人と家族にはよく話し合いをしてもらうしか無いそうです。
こちらの方が難しいとは仰ってました。
最後に
エビデンスの高い情報はどこで?
こちらに一般向けのがんの情報があります。
他には患者さん自身の体験談なとも参考になりますが、あくまでもエビデンスに基づいた治療経験の体験談が有効です。
検索した時、上に表示されるのは広告である事が殆どです。
聞こえの良い謳い文句ばかりも注意です。
自由診療のみと言うのもエビデンスレベルは低いです。
本当に効果があるなら治験や臨床試験を経て実績を積んで保険適用されるからです。
最近では免疫療法という言葉が溢れていますが、現時点で免疫療法と言えるのは、免疫チェックポイント阻害療法だけです。
中々分かりやすいレポートを書くのは難しいです。兎にも角にも正しい情報、エビデンスの高い情報を得る事はとても重要だと思いました。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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