今回書く内容は、毒親育ちの子どもについて書いています。

親子関係が良好な家庭や、表面上は親と仲良くやっていけている方には理解も共感もできない内容だと思いますし、不快に思われる方もいると思います。すみません。


癌で歩くこともできないほど衰弱した父親に、面会に行かないという夫。


私は「会いに行った方が良いよ、行かないと後悔するよ」と言いかけて、その言葉を飲み込みました。


おそらくこの世の大多数の子どもなら、親が癌で長くないと知ったら会いに行くでしょう。

でも、行かないと即答したのですから、夫なりの気持ちがあるのです。


小さな頃から何度も競馬場に連れていかれ、放置されて迷子になっていた夫。

酒とタバコと賭け事が大好きで、家族に迷惑をかけても謝罪の一言もなかったという義父。

気に入らないことがあるとすぐ怒鳴り声を上げていたという義父。

何日も家に帰らない義父。その間一人っ子であった夫はひたすら母親から父親の悪口を聞かされて育ったそう。これはもう正直義母にもそれなりの責任があると思うのですが、夫にとって実家は安心できる場所ではなかったのです。(テストで100点でないと怒っていたし、夫のことをいつも頭ごなしに否定していたという義母のエピソードは過去に書いた通りです)



夫はもう、毒親から自由になりたいのです。

ここで「そうは言っても育ててくれた恩があるのだから」「血のつながった家族なのだから」なんて言えません。

その言葉こそが、毒親の呪縛です。

「親を見捨てようとする自分は冷たくて悪い人間だ」という気持ちが、毒親育ちの子供を追い詰めて苦しめるのだと感じます。


一人の人間として幸せに生きていくために、親と訣別することが必要だと感じるのであれば、そうして良いと私は思います。



夫には「もし、気が変わってやっぱり面会に行きたいという気持ちになったら、うちのことは気にしないですぐに行ってね」とだけ言いました。(面会は一親等のみとのことで、私も子供たちもいけません)



何故か夫はこのタイミングで「面会には行かないけれど、僕がギャンブル依存症になって治療していることは手紙でもメールでも伝えないと」と言い出したので、それは全力で止めました。



義父は非道いところもあると思いますが、余命宣告されている段階で、子どものそんな話を聞かせるのはさすがに残酷でしょう。

義父の中で夫は「勉強ができて仕事もうまく行っている自慢の息子。上京して三人の子供を持ち健康に暮らしている。ただ、面会にも来ないし親に冷たい」で終わらせてあげるべきでしょう。



これを「ギャンブル依存症で多額の借金を抱え、自殺を図った息子。そのうえ面会にも来ない」に上書きする必要はないと思います。



義父の主治医から連絡がありました。

癌は転移していて余命3ヶ月。

急変も覚悟して欲しいということでした。