運命の2022年1月28日です。

私にとっては人生の方向性が大きく変わった日であり、信頼できていたはずの相手を永久に失った日です。

でも、私にとってはこの日が全ての始まりですが、夫はもう随分前から依存症に深く沈んでいたのですから、私も間抜けなものだと思います。


この日朝、私は先週夫から受け取った2021年冬のボーナス100万円を学資用の口座に入れようと思っていました。長男の高校進学用のこれからの塾代と学費がやっと貯まると安堵していました。これが貯まったら、次は長女の高校進学費用を貯めて……そんな胸算用をしていました。

しかし、封筒には36万円しかありませんでした。すぐにその日テレワークしている二階の夫のところに行き、知らないかと聞きました。この時点ではまだ特に不審にも思っていませんでした。

聞くと「他に支払いがあって少し借りたけれど、すぐ返す」と言われました。ふるさと納税の支払いもあるし、そういうこともあるかなと思い、分かったと答えました。

「良かった、泥棒に入られたかと思った。高校の学費がなくなったかと思って焦ったよ」

その言葉を夫はどんな気持ちで聞いていたのか。


部屋を出る間際、私も少し不信感があったのかもしれません。

「いくら返ってくるの?」と夫に聞きました。

「30万円くらいかな」

私は、最初は100万近くあったと思ったのに、数え間違えたかなと思いました。

「今度でいいから、賞与の明細持ってきてね」

「次に出社した時にプリントしてくる」

「まあ、もうすぐ源泉徴収票ももらえるから、それで分かるかな」

「うん」


いま思い返してみると、夫はよくこのやりとりを平気な顔で対応できたなと思います。

私は階下に降りて、自分が仕事に行く準備を始めました。

2階で、椅子のキャスターがいつもより大きくゴロゴロいうのが聞こえます。仕事中、椅子を動かすのがクセなのです。

それが今日はなかなか止みません。そのうち、ガタガタ足音が聞こえ、その足音も止みません。

やがて金属がぶつかる音、軋む音が聞こえ、そして金属が折れるような音と床に何か大きなものが倒れる音などが部屋から響きました。

「どうしたの?何があった?大丈夫⁉️」

呼びかけても返事がありません。

ノックもせずに扉を開けて駆け込みました。