仕事の帰りに使用済み切手を教会に郵送しようと本局に寄る。何時まで営業しているのか知らないが、人が多かった。使用済み切手は職場で集めたものがほとんどで、郵送代は200円ぐらいだった。私が使用済み切手を集めていることを知っている人が、たまに切りぬいた切手をくれることがあるが、受け取れないものはその場で理由を話す。ハサミで切り取っている際、ミシン目に刃がかかってミシン目が欠けているものは貨幣価値が無いことを指摘し、すみませんが、と断りを入れてごみ箱へ入れる。
 
 使用済み切手は切手から周辺5ミリ~1センチを切り取る。これを知らないでざっくりとミシン目を切っているものは残念ながら受け取れない。古切手の扱いを収集の覚えが無いものが知らないのは当然なのだが、昔郵便局員に切手をハサミで切っている局員がいた。窓口で80円ください、と頼んだ際、若い女性局員がハサミを取り出し、切手シートをちょきちょきとやりだしたのである。私は驚いて、切手はハサミで切ってはいけないと注意した。切手はミシン目に沿って指でちぎるのが正しい。ハサミで切ると刃先が絵柄にかかるおそれがある。そうなると偽造を疑われるため手でちぎらないといけないのだ。これは切手収集の本に書いてある。戦前の切手はまだミシン目がなく、ハサミで切るようになっているが、今は折り目をつけて手でちぎるのが正しい。
 
 私は局員の女性にハサミを用いてはいけないことを話したのだが、若い局員の女性は困ったような笑いを浮かべていた。どんな試験内容でこの窓口の職種にありつけたのだろうか。あの時は素人に説明をさせるなよ、と思った。まだJP日本郵便ができる前の話だが、今も地方へいけば、そんな局員がいるかもしれない。

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