ほかならぬ人へ/白石一文
恋愛ってなんだろうか、そんな青臭いことを私は去年の冬からとめどなく考えていた。
人は何をもって好きになるのか。なぜ好きだと「分かる」のか。
そんな中で長年好きだった人に思いを告げた折に、好きって何なのかと聞かれた時、自分は何も言えなかった。そんなのは私が聞きたかった。
ある日の飲み会の席で職場の先輩からお薦めされたのがこの本だった。その場で携帯のメモに残したが頭の中に常にあるわけではなかった。数週間後、近所の本屋に寄った時、唐突にこの本の存在を思い出しその場で幸運にも本棚に残っていたものを購入した。
この本を読んで感想が書きたい。ただそれだけのためにこのブログを始めた。
読了後の感動はそれほど大きくはなかった。
本の中になぜ人を好きになるのか、どうしてその人が好きだと分かるのか。それへの答えは一言も書かれていなかったからだろう。そこに書かれていたのは「ベストな相手が見つかったときは、この人に間違いないって言う明らかな証拠があるんだ」ということだった。なぜ好きだと思うのかは分からない。何に惹かれているのか分からない。ただ、好きだという気持ちは存在し、惹かれてしまう自分も確かに存在している。
何故好きだと感じるのか、恋愛とはどういう機能なのか。それに対する答えは得られなかった。
けど、それでいいのかもしれない。自分のちっぽけな脳みそで自分自身をすべて分かろうということさえも烏滸がましいのだ。人の意識的な部分というのは氷山の一角に過ぎない。愛することに、好きだと言う事に理由をつける必要はない。ただ、自分の中でその確信にも似た感情があればそれでよいのだと思う。
つまるところ恋愛とは直感なのだ。じっくり腰を据えて考え抜くことで解が見つかる受験勉強とは違う。数回、もしかしたら一目見たタイミングで人は自分のベストな相手はこの人だと悟るのかもしれない。
どんな方法でもいい、新しい出会い、新しい経験を繰り返すこと。「新しさ」の中でしか人は恋に落ちない。誰かと恋に落ちても尚、新しい経験を志すこと、他の人がいないか目を向け続けることこそが自分の選んだ人がベストな人で間違いないと感じさせてくれる唯一の方法なのかもしれない。
