北海道のイベントでは
いいお仕事をさせていただきました。
本当にありがたいことです。


イベントでのMCのお仕事との出会いは
もう今から何年前のことなんでしょうか?


思えばNHK教育テレビのお兄さんを2年務めた後
アナウンススクールなど行ったこともない僕に


「教育テレビ的にわかりやすく現場を紹介するコーナーを作りたい」と言われ


NHKの「土曜スタジオパーク」のリポーターをオファーしていただき
やらせていただくことになりました。
しかもレギュラーで2年間。

リポーターという仕事は面白いんですよ。

大抵
普段見れない場所を見れるんです。
放送できるかは別ですが
裏の話とかも聞けます。


時代劇のスペイン語吹き替え現場なんかは

衝撃的でしたね(笑)



ただレギュラーの仕事を経験すると
レギュラーの仕事が終わることも経験してしまいます。


この初めてのレギュラーの仕事がなくなったときの喪失感は大きかったですね~


レギュラーワークと化していた
毎週必ずある、取材の撮影の仕事と、スタジオでの収録の仕事が
突然、ある日からなくなってしまったのです。


会社をリストラされたわけではありませんが
それに似た喪失感があったような気がします。


さて、どうするかな? と。


僕にできることって何なのかな?と。



演技のお仕事があるときはもちろんしましたが
いかんせんそんなにお仕事のお話がなかったころのことでした。


そんなときに
イベントの司会のキャスティングをされている方に幸運にも出会い


『司会者』という役を演じればいい

同じ表現の仕事だから、演技にも役立つ、ということで

イベントのMCのお仕事にも興味があったのでチャレンジすることにしました。


もちろん
司会の技術、ナレーション技術も学びました。


どころで

「イベントのMCってどんなものなの?」
と聞かれますと、


大きく分けると二つあるんです。


ひとつは「式典」とよばれるもので
企業の○周年記念式典とか
○○コンテストとか
○○さんとのトークショーなどのイベントでの「司会」のお仕事


二つ目は「展示会」と呼ばれるもので
モーターショー、ゲームショー、ビジネスショーなどで
企業の新商品や新サービスについて
プレゼンテーションする「展示会」でのイベントナレーターとしてのお仕事
これもMCの仕事となっております。


二つ目のお仕事は
一般的にはあまり知られていないお仕事かもしれません。


しかし
面白いことに

モーターショーなどのイベントのMCは
その都度オーディションが開かれるのです…


そして
オーディションが開かれるのであれば
表現者としては、やり様があるはずです。


ただ、役者のオーディションは
役に対してのオーディションなので
同じ年齢で、似たキャラクターの方々が実質的なライバルになるわけですが


MCのオーディションは
年齢、キャリア、キャラクターに関係なく
全員来ちゃうんですよ。


そしてそのオーディションの流れですが

①自己紹介、
②課題の原稿を読み、
③質疑応答、っていう流れのものがほとんどです。(現在もですが…)


始め立ての頃、
キャリアのあるベテランの方といっしょに
オーディションルームに入ると


ベテランの方々は


僕とのキャリアの違いを
ものの見事に
証明してくださるわけです。


最初のうちは
「これ無理じゃん!!」と思ったりもしました。


初心者とベテランとの決定的な差である
「キャリア」「経験」の差を埋めるすべがありませんでした。


ただ

転んでもただでは起きない僕は
イベントMCのオーディションの特殊性について考えてみました。


MCのオーディションは
役者よりも
「技術」の占める割合が多いような気がしました。


ん?

ますますキャリアが重要ですね~


ベテランには
キャリアにもとづく「ゆとり」「落ち着き」「自信」があります。
ナレーションも当然、僕より上手いわけです。


ところが

ある時気づいたのです。


MCは
人前でしゃべる仕事で

録音ナレーターのように聴覚だけに訴える仕事ではないということに。


「MCの技術」って


ナレーションの技術だけではなく

「ナレーションと連動した表現技術」。


別の言い方をすれば
「ナレーションを伴うパフォーマンス技術」のはずなのです。



僕は演技からこのイベント業界に入ったので


「ゆとり」「落ち着き」「自信」の領域は演技で克服できます!!


ゆとりある落ち着いたキャラクターで自信をもって台本を演じればいいわけです!


そして
ナレーションスキルに関しても


本番は人前でしゃべるわけですから
(多少しゃべりが下手でも)


役者としての表現力をナレーションに投影し
「パフォーマンス」としての表現の勝負のほうに持ち込めば

なんとかなるのでは?  と思ったのです。


そうは言っても
ナレーションスキルは高いにこしたことがありません…
これは、練習するしかありません。
表現の世界はきりがありません。
そういう僕自身、
今でも表現者としてのトレーニングは常にしていますから。


話がそれました


演技の表現技術を拡張して
ナレーション原稿を「パフォーマンス」として表現する。


このイベントでの「パフォーマンス技術」を
オーディションで見せられるようになってからは

少しづつパスできるようになりました。


医学的にも
人が日常的に情報をうけとる割合は、
視覚83%、聴覚11%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1.0%となっています。


MCをはじめた当初
ナレーションスキルが低かったにもかかわらず
幸運にもオーディションをパスできるようになったのは


聴覚に加えて、
演技も動員し、視覚にもうったえ、
表現者としてのトータルの技術で勝負してみよう!と思いたってからでした。


僕は
俳優、モデル、リポーター、声優、録音ナレーター、イベントナレーター、MCなどのお仕事をさせていただいておりますが


イベントで学んだことは
演技に多く還元できます。
逆もまたしかりです。


表現の世界は全てがつながっているのかもしれません。


確かに
全て、自分の肉体を使った「表現」の仕事ですからね。