僕は弱虫
見た目はだいたい蛆虫みたい
ただちょっと大きくて3cm
春になると増える
もうすぐ月が落ちる

習性として普通、弱虫は好きじゃ無い女との別れ方を考えてる
だんだん連絡が減って自然消滅みたいなのが理想
もうすぐ月が落ちる

個体差があるけど普通弱虫は少しねじれてる
最初はスッとしてるけど
人に踏まれたり
人の顔を見上げたりしてるうちに
ねじれたまんまになる
もうすぐ月が落ちる

僕は弱虫らしく恋をして
人に踏まれてあちこち破けたけど
ヘラヘラ笑いながら
好きじゃ無い女との別れ方を考えてる

月が落ちた

春の風が
僕の破れた皮を
もっと千切っていくのに
血が出ない
朝日が
バラバラの身体を
隅まで焼くけど
ダイオキシンが出る

そういう春の陽射しの中でも
弱虫はやっぱり好きじゃ無い女との別れ方を考えてる

gogr-gogr-ggl
僕はどうしてあの人みたいに成れないんやろう
いちいちどうしようもない事で悩むんやろう
話し方も振る舞い方も生き方もつまらない
自分の駄目さに絶望してく

gogr-gogr-ggl
左足の踵が地面から浮いていればもう少し上手くやれるかな
右手をあまく握れば明日が来る不安に勝てるかな

gogr-gogr-ggl
あの人にとってはただの小さな衝撃が僕を壊していく
gogr-gogr
嫌な音がする
gogr-gogr
僕が崩れていく音
gllg-gul
根本の方から
gllg-gul
砂になりそう
ggggg...ggl..gl

電車が出る
電車が出る
広い構内は蛍光灯の灯りで
青白く靄がかっている

1番線には電車が来た
霧深い河を抜けて来た
女性専用車両からは4人だけ
他の車両からはたくさん降りていった

電車が出る
電車が出る
2番線には僕が座っている
留まっている電車に乗ればいいのに
ウジウジとホームに座っている

電車が出る
電車が出る
3番線にはもうすぐ電車が来る
線路のむこうに見えているけど
窓についた結露のせいで中は見えない

電車が出る
電車が出る
4番線から9番線にはなんにも無い
向こうの壁が見える
駅の終わりだけ見える

電車が出る
電車が出る
蛍光灯の青い光にあてられて
1人男が飛び込んだ