(前話:初夜に野獣の咆吼)


<長尺に不安を感じるアパートメントの揺れ>


 オールだね、オール0。お前が死ぬのだ。
 メガネケースのオレンジには何も感じないね。良いも悪いも本人次第。蒼いスピーカーの電源LEDは美しいけれど。
 くしゃくしゃのティッシュペーパー。アパートの住人に段落のない嵐と老夫婦の関係が取りざたされている。
 だから眠れなくなって全員面接する。
 まずは肝要な老夫婦。
「ビルビル伝えなければならないビルビル。
 涼を取るにはここは熱すぎるだろう、このアパートメントはだから老である我々は、必至の想いで和室。」
 一番の役者なのだ。
 フチがいる。そして名はフチだけれどその中心にもわずかな淀み。
「かいつまんで話そう、通り過ぎるあの列車に揺れるこの部屋で、それは面倒なことだからでも重要だから。
ほら、あの居酒屋でお前らは馬鹿だっただろう?」
 吐き気がこみ上げてくるぜ。
「スケッチ。SKETCH。おわかり?わかんねぇならこうだぜ、老!」
 短気だねフチは。
 ガイドは電話でお願いね。
 アドヴァイスに尻で答えるのだ。
「ばばぁやんな、ナイフに腰振れ、突き入れな!」
 耐えぬな。
 耐えられぬな。
 フチ、それで良いのか、なもなき神の声が轟き、老女股から裂ける。皮がべろりと脱げてしまったからまるで、~唖然とする夫の目の前で~スジだな。
「ほらほら、駱駝の衣装を脱いで騾馬の靴を履き、土間に股を開いて寝そべりな!」
 よっぽど慌てたのか、夫!妻を駱駝と騾馬の合いの子に返信させてしまった。
「詰問は続けるぜ」と、支援に曇るフチは詰問者。
 だっせぇワードになる。ワードとなる。ワードがある。
「奇異なことであるなぁ。ろくでもない考えであるナァ。合いの子にも限界があるナァ、ヒトも混じっちゃうじゃないか、きっとうまくいかないよ」
 合いの子妻はボロボロ涙を流しながら命の果てる瞬間を待つ。
「うまくいかなきゃどうなる?」
 詰問者フチに詰問するじじぃ。
「まぁあんまりこういう話題に時間を割きたくはないが、盤石銀行に電話して頭取にカネを借りるってのもひとつの手段だぜ」
 駱駝、騾馬、笑っちゃうよ。
 ジジィの想いも揺れるのだが、その灯りの下で小さな彼女のおさげが揺れてそれを解き、梳くときに幼香が流れる。
 ババァだぜ。
 美しい、あまりに。47。間違いなく。893。それはそれはスジ。
 かすかすなのですね。
 丁寧語はいらない。
「かすかすじゃねぇか、そそるぜ、勃っちまうぜ、スジでよ!」
 事実、勃っている。そそり勃っている。意に反してしまったよ。
「馬鹿者、無礼だ、敬語を使わんか!」
 こりゃもうケンカだね、その横暴で小狡いキミの手段は許すけど。
 だが、殺す。
そうおもう。
 ババァは死んでないけど、フチとジジィは決闘する。死は必ずしも絶望ではなく、生かすことから追い込んで絶望に至らせる仕打ちを私は望んでいるのだ奸計。
 捲れて股から裂けても生。
 胃を。胃、そのものを吐け。吐いても生。
 肝臓はとっくに出てるぜ。空き瓶と紙パックに溢れた鮒臭い畳で一升瓶を抱える。
 それが現在の幸福。


<次話:ふんふんと噴くスチームのニオイ>



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