まず生まれてしまった
息をしてうっすらと光を感じた
ノイズ
そう
それが初めからあって
痛い匂いを嗅いだ
空気を振動させて私は号泣したし
手足をばたつかせて掻き乱した
既にこれ程の悪行を
しかし母は私を許していた いや
喜んでいたとさえ言え
乳を吸い
目方と背丈を増やした私は
日々力任せに母を打ち据えた
力不足ではあったものの
これ程の悪行を
しかし母は私を許していた いや
喜んでいたとさえ言え
先のギザギザにとがった歯を持つまでに成長した私は
その乳首が千切れる寸前 血が滲むまで母に喰いついた
私の歯は肉を切るまでに鋭くはなかったものの
記憶に残る限り
これが意図した初めての悪行
しかし母は私を許していた いや
喜んでいたとさえ言え
苦しくとも痛くとも母は喜んでいたとさえ言え
それは私が息子であるのだからその元気をあまりの元気を
いきすぎた元気を
暴力を
横暴を
狂気を
悪意を
悪意を
私は思い出そうと思えば思い出すことができる
その母の胎内で
私はいつも早いところここから生まれ出て
母を犯そうと
この女を犯そうと
豆粒より小さなペニスを血管が浮くほどに勃起させて
全身を硬直させて
私は私は
それを果たして
しかしそれでも母は私を許していた いや
喜んでいたとさえ言え
- 久野 一成
- 若叔母・美乳 (フランス書院文庫)