上棟の日。
仕事は休みにして丸一日、現場に立ち会った。
前日までに1階の主要な柱は立てられていたが、そこから家の形が出来上がるまで、いっきに一日で仕上げてしまう。
10人はいなかったが、現場監督さん曰く「心強い」人数が集っていた。
全員が完全に段取りを共有できていないと、そんな動きは無理だろうと思えた、一人一人プログラミングされたかのような作業風景。
全員がベテランに見えた。
「尊敬に値する」
上棟をそう言う人に共感した。
夕方になる頃には屋根も付いて、それまでイメージパースでしか見てこなかったものが、原寸大になって現れた。
二寸勾配の片流れ屋根を背負った顔は、威風堂々たるものだった。
見上げながら、家族を持つ四十男はしみじみ思ったのだった。
「オレも頑張ったな~」
ではなく。
「オレこれからも頑張らないと・・」
そんな武者震いなのだ。
住宅ローンを使ってのマイホーム取得。
マイカー納車で車体を撫でながら「オレ頑張ったな~」とニヤニヤするのとは違う。
これから十年単位のローン返済を、頑張っていかなければならないのだ。
この日ばかりは静かに上棟を見届けた施主。
首の痛みは、見上げ続けたせいだったのか肩の荷を再確認したせいだったのか。