是枝裕和監督の映画に
「誰も知らない」という作品がある。


父を知らない4人兄妹が
母に捨てられ、兄妹だけで生きていこうとする物語。

一番年上の兄は13歳から14歳になる齢。

母は、

「空港に行って、パパに会いに行こうね。」

と約束してくれた。が、去っていった。

その後、弟が死ぬ。

会ったことのない父がいるらしい空港。
その近くの空き地に弟のなきがらを埋めに行く。

外部と繋がる空港に兄妹が辿り着くことは無く、
ただただ飛び立つ飛行機を眺める場面が象徴的。


この映画は、
長兄役の柳楽優弥氏にとってはデビュー作であるとともに
2004年カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した出世作。

※余談だが、
この年のカンヌ国際映画祭審査委員長は
クエンティン・タランティーノ。


2004年、早すぎた絶頂を迎えた柳楽優弥は、
その後、いくつかの主演作を重ねるが、
その影では、成功したらしい自分に苦しむ(という勝手な私の想像)。

一時は死線を彷徨うが、
今、再起を果たし改めて俳優活動に勤しむ。

若くして多くの期待を集める人にだけ、
若くして挫折を味わうという、何よりも貴重な経験が許される。

その挫折を世間は失敗とか堕落とか言うが、
気にすることはない。世間などという人はいない。

その経験は、次に同じ経験をする若い才能を守るための貴重な実体験として蓄積される。
後続の若者が同じ体験で苦しむとき、かつてその苦しみを味わった諸先輩方は、
いや、そのような諸先輩方だけが、放たれる多くの叱責という名の矢の傘になってくれる。



2010年早々に、柳楽優弥氏は、
4年間、彼を支え続けた(らしい)豊田エリーさんと
結婚することをこの12月に発表した。


突然だが、
Mr.childrenの「ひびき」という曲が好きだ。



「音」のプロとして、誠実に悩んでいる姿に
あれだけの方々でも悩むんだよなー、
いわんや俺をや。

と勇気付けられた一曲。


このPVに主演している女性が豊田エリーだった。

悲しみを理解する笑顔がいい。

すげえいい女優さんになるだろうなあと勝手に期待している。
この期待が、ときに人を追い詰めるんだけど。。。

まあでも仕方ない。才能には期待が集まる。

頑張れとしか言えないので、
どうなっても応援することを
頑張れなどと無責任に言う自分への責任とする。


そんなわけで。
柳楽夫婦を(まだ結婚もしていないのに)、
勝手に応援しています。

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