本編■1章:遍路1周目■出会いと別れー新米遍路の苦悩と学び
               4.せっちゃん大暴走で苦悩の日々


DAY9-2


焼山寺を打って自転車を走らせているとまた雨が降り出した。
せっちゃんと私は、昨夜泊まって荷物も置きっぱなしの神山温泉裏のパーキングまで戻って来た。

私「どうする?出発する?」
せっちゃん「雨やな・・・」
私「今日もここに泊まろうか?」
せっちゃん「そうしよう。」

雨の中、荷物を整理して出発するのも面倒だと思っていたら、せっちゃんも出発したくなさそうだったので今夜もここに泊まることにして、早速、神山温泉に入りに行った。

夜、パーキングの東屋でせっちゃんと缶ビール片手に話す。

奇跡の願い事


私「せっちゃんは、このお遍路で何かお願い事してるの?」

せっちゃん「え?そんなんしてへんで。Noisyは、何かお願い事してんの?」

私「確かに、ご利益とかそういう事は、全く信じてないんだけど、私は自己コントロールの時間だと思ってるんだよね。自己暗示をかけて自己実現していくっていうか。要は、プラスに考えれば全てプラスに動くし、マイナスに考えてれば全てマイナスに動いてしまうじゃん。
普段、自分にもっとこうしたい!ってのを毎日言い聞かせるような時間を1分でも取った方がいいのかもしれないけど、そんなの忘れちゃうじゃん。だったら、遍路で88か所もお寺に行って、各本堂と大師堂回って、高野山も行くわけでしょ?
合計177回もお参りするわけだよね。
なんか、もったいないなと思って。
こんな事言ったら、信仰深い人に怒られちゃうかもだけど、私は正直、お寺の本堂とか大師堂の仏像なんてただの置物だと思ってるんだよね。でも、それに向かってお願い事をしているようで、実は自分に問いかけてるんだと思ってるから。
だから、私は各お堂ごとにお経の後にお願い事も心で唱えてるよ。」

せっちゃん「ほんなら、Noisyは、何を願い事してんの?」

私、「遍路始めようと来てる途中までは、お金持ちとか誰でも考えそうなことを考えてみたんだけど、なんか違って。結局、健康ならなんでもできるし、まわりも健康でいてくれたら自分も好きにできるから、遍路も無事故で二人とも帰って、やっぱ健康でいることだと思ったんだよ。だから健康を祈ってるよ。」

せっちゃん「そやな。今、Noisyは、生理もおかしいから、それも治らなあかんしな。」

私「そう。それも含めてるよ。せっちゃんは?」

せっちゃん「ん?ワシか?なんやろな。」

私「せっちゃん、これは誰の為でもなくて、本当に自分の為だから、格好つけたりあきらめたりするんじゃなくて、本当は、自分の本心はこうですっていう、本気で実は思ってることじゃないとだめだと思うんだよね。」

せっちゃん「うーん。」

しばらく、せっちゃんは考え込んだ。
実は、私にはちょっと予測がつくことがあった。
できれば、それをせっちゃんに言いだしてほしいなと思って待った。

せっちゃんは、別に不細工と言うわけでなく、常に自分はそんなのダメだろうと言うような諦めている態度が彼女を常に覆っているような気がしていたのだ。
だから正直これまで5年の付き合いのせっちゃんだけど、男にモテた話など一度も聞かなかったし、せっちゃんが興味を示す風情も見当たらなかったから。
ましてや話がそっち方面へ行くと逃げる傾向にあった。
本当は、せっちゃんも彼氏が欲しいんだろうけど、せっちゃんもくりっとした可愛らしい目をしているんだし、もう少し、自分は無理だと決めているようなそんな豪快な諦めの態度さえなければ・・・彼氏もできるだろうにと思うとこともあったので。
それにこうやって色んな人との出会いがあっても、ブスッとして空気を壊すような雰囲気では誰も寄り付かないし、ましてやそのまま何も告げずプイッと何処かへ消えるようでは、どんな出会いをも自ら放棄しているわけだから。
せめてそれに気づいてほしかった。

私「本当に本当に自分に素直に正直に言わないとね。どうせ聞いているのは、私しかいないんだから。」

せっちゃん「そやな。うーん。」

そして、またしばらく待っていたら、ゆっくりとせっちゃんが口を開いた。

せっちゃん「やっぱ・・・ ほんまは・・・ どっかで諦めてんねんけど・・・ 

本当の本当を言ったら・・・ 

出会いかな。
ずっとずっと本当は、誰かに出会いたいんやと思う。自分のパートナーに。

そや!それや!ワシは、出会いや!」

私「出会いね!いいね!
でも、せっちゃん。
さっき言った通り、これはご利益とかそういう事じゃなくて、私はあくまでも自己コントロールとしてしか受け止めてないんだよね。だから自己実現するには、やっぱりはっきりくっきりした目標じゃないと、漠然とし過ぎていたら結局かなわないと思ってるから。
もっと、出会いなら出会いでもいつまでにとか、具体的じゃないとダメだと思うんだよね。
私の健康って言っても、生理が治ること、私達が無事故で帰ること、私も含めて家族や友人が末永く病気をしないことって感じでもっと具体的だよ。」

と言って、せっちゃんが遍路終わって今年中にとかそんな事を言ってくれることを期待して話した。

すると即座にせっちゃんが答えた。

せっちゃん「そんなら83番までや!」

え!?遍路中!?
しかも、もうすぐじゃん。

この人は・・・ お話になりません・・・

これが、まさかの凄いドラマに展開していこうとは!
つづく・・・   


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