ラビリンス/魔王の迷宮
☆あらすじ
主人公のサラは義母とうまくいっておらず、お芝居ごっこをして一人遊ぶ日々を送っていた
ある日家庭内でうまくいかない苛立ちから、弟のトビーをどこかに連れていって欲しいとお願いしてしまう。
それを聞き届けた異界の王は弟を攫うが、サラはすぐに反省し弟を取り戻す旅に出ることに…
NHKの人形劇のような、明るく子供向けな印象のファンタジー。
1986年公開の作品なのでまだCGの技術も発達しておらず
実写とCGが馴染んでいないが、それがまた味になっている。
一部これは幼児が見るには若干怖くないか?と思われるシーンがあるが
ほぼ全編にわたってほのぼのとした冒険となっている。
シンプルなストーリーだが
サラが問題に直面するたびに
お助けキャラが哲学的なアドバイスをするシーンが多く、
強いメッセージ性があると言える。
サラが毒の桃を食べ、
自分の居心地の良い部屋の幻想に飛ばされてしまった時に
今まで大事にしていた人形を「くだらないものばっかりだわ!」と言って
投げつけるシーンは、じーんとくる
王が最後にサラのためにやっていたことを明かすところからして
あのゴブリンたちの住む異界は、サラの大事にしていた夢や空想、
子供っぽさの具現化したものなのだろう。
異界を脱したサラは弟にぬいぐるみをあげるが
これも夢を与えてもらうばかりだった子供時代を抜け、与える側に近づき大人になったということだ。
それを踏まえてみると
最後のシーンは単に後味の良いハッピーエンドにするためでなく
大人になっても人のために尽くすだけでなく
夢や自分を愛してもいいのだというメッセージが込められているのであろう。