さまざまな病状や怪我にまみれながらも、またしばらく生きている。こんなクソゲーな現実の中でも、僕はそれなりの安定と、ささやかな幸福を手にしながら、徐々にパーツとしての人格を形成している。しかしそろそろ、その手にしてきたモノたちが、違うベクトルの重みになって僕にのしかかってくる。僕はこんな生活望んでないし、パーツで終わるつもりもなかった。





 僕の信念や、目標や、人生の指針や、内に宿す決して叶うことのない野心は、たった一言にいいかえられる。それが「ヒーロー」。 僕は、たったひとりの好きな女の子を守るために、世界を敵に回すような、利己的で、横暴で、だけどみんなに慕われる、フィクションの中の主人公にずっとなりたいと思っている。大人になって、フィクションの意味がわかった今でも、その願望は消えずに残っている。





 殊更に僕は、長く生きることに執着しない。別に今すぐに死にたいわけではないし、消えてしまいたくなるほどネガティブなわけでもない。その生への思いは、ただ単純な理想を求めてるだけという説明に戻る。「僕はまだ、ヒーローになっていない」。まだだれも守ってないし、まだだれからも称賛を浴びていない、まだ憎むべき悪党を倒してないし、共に闘う仲間もできていない。





 誰かを殺したいくらい憎いわけでもない。誰かを狂おしいほど愛してるわけでもない。僕は単純に、たったひとりの「ヒーロー」と言う存在になりたいだけだ。もしそれがかなうなら、寿命の99%を明け渡してもいい。某テレビチャンネルで1クールだけでも、某少年漫画誌で十週間だけでも、それがかなうなら、それで僕の理想が他人に帰化するなら、どんなに短い間であってもいい。僕はヒーローになりたい。どの家庭の少年少女の部屋に転がっていそうな、居間で電源を入れたらブラウン管に映るような。そんな身近で、絶対に触れることのできない、コミックヒーローに。





 ハルケギニアでルイズを守るのもいい、魔界の子供たち100人と戦うのもいい、幽霊と合体して戦うのもいいし、一度死んで霊界探偵になるのもいい、火影になって裏麗を倒すのもいい、人々を助け渚を幸せにするのもいい、7人のサーヴァントと戦うのもいいし、自分の直視の魔眼に苦労するのもいい、炎髪灼眼のフレイムヘイズとあえて敵対するのもいいし、バスケで全国優勝を目指すのもいい、流浪人になって飛天御剣流を極めてもいいし、タイムリープしてクリスやまゆりを助けるのもいい。





どうして僕はあちら側に生まれなかったのか?


どうも社畜です。最近週七で働くことが当たり前に思えてきました。大学生がこれじゃいかんでしょ。もっと遊びなさい私、と自分に言い聞かせたい今日この頃。しかしその分お金も手に入るわけで。でもそれもカードの返済とか、ガソリン代とか、今一番ネックになっているところのものの「食費」で半分以上消えますけども。後、最近凛ちゃん(※注:軽自動車、ワゴンR平成7年型)の調子が悪いので、それのメンテナンスにもお金がかかっております。ブレーキパッドが後一ミリしか残ってないと車屋さんに言われた時は鳥肌立ちました。

 

忙しいという字は「心を亡くす」とは良く言ったもので、最近悩み事らしい悩みごとはありません。これを幸せと感じるか、憐れと感じるかはあなた次第。忙しくてそんなこと考えてる暇はないとです。ただ、言うならば、僕は残り少ない青春時代を、心を殺し続けて過ごしてることになる。さてそれは正しいのか?しかし、大体大学生でやりたかったことはできたので、悔いはないかも。後は何か、最近の若者らしくいうならビッグなことがしたい、とか、そんな感じ。これがなかなかハードルが高い。

 

閑話休題、近況報告と題しているので、それを少し。専攻の話ですが、なんと異例の二足の草鞋になりました。これからゼミを聞かれた時は、「ジェンダー論とメディア(情報社会論)」となります。長い。簡単に言うと、週に二回、それぞれ別のゼミに参加するということに。でも、これでネックだった「拘束」からは解き放たれたので、良しとしましょう。グル―王ワークはできなくないけど、僕はあくまで自分で研究をしたいので。

 

もうひとつ。依然問題は解決せず。僕はいったいいつまで実家に居ながら自分ですべて賄わないといけないのか。良く考えると、一人暮らしした方がコストパフォーマンスはいい気がします。しかし、初期費用と言う大きな壁が。ここをクリアして初めて問題解決。まあ、合格点より及第点的な考え方ですけど。

 

心を取るか金を取るか、あなたはどっち?



 A‐1





 彼が大好きなものをいっぱい詰める。


 程よくこまぎれた薄い牛肉、ネギは大きすぎるくらいに、彼は猫舌だから、お豆腐は一口サイズより少し小さめに、しいたけは一つを丸々切れ目をつけて、うどんは最初から入れておく。白滝だけは、最後にまとめずに入れて、おなかが落ち着いてから啜って食べるのが好みみたい。割下は醤油と砂糖を少しい大目に。ご飯は少し硬めに炊いて、炊き立てだと熱いから、彼が帰ってくる少し前に冷ましておく。


 すき焼きは、おいしいものがこれでもかと詰められた、お祝い事には最適な食べ物だと思う。お米にマメを入れただけのものや、たった二食の色しかない饅頭とかよりも。具材がたくさん使われている鍋という形式自体が、食卓をにぎやかにする素敵なものだ。


 彼は今日、早く帰るらしいけど、何だか仕事が忙しいみたい。そして彼のことだから、きっと今日が何の日かなんて覚えていないはずだ。帰ってきても、いつも通りの適当な食事しか待っていないと、重い足取りで帰ってくるはず。早く彼の喜ぶ顔がみたいな。早く帰ってこないかしら。








 B‐1





 私の嫌いなものばかりがあふれている。


 よく私に怒号を飛ばす割には、自分では何も仕事ができない形だけの上司。口数も少ないうえに、二度三度と教えたことを毎度毎度失敗する使えない部下。引くたびに軋んだ音がする自分と同世代の机。隅の方に埃がたまった床。一時間くらい置きに鳴る、やたらうるさい電話の着信音。口臭がきつくて、なるべくは関わりたくないのに、いつも興味のないギャンブルの話ばかり振る同僚。この組織自体。


 自分の仕事場ほど、気に障るものだけで構成された、ストレスの生産工場のようなものはない。学生時代にもっとしっかりしていれば、多少忙しくても、仕事に専念できるような会社や、稼ぎが少なくても、自分のしたいことを思う存分に職場ですることだってできたはずだ。


 今日は平常運転の予定ではあるが、私のストレスはいつも以上にたまる一方である。こういう日にはいつも適当に用意するゴミのような食事ではなく、しっかりまともなものが食べたい。苦しいくらいに満腹になって、長めに風呂に入って、ゆっくり寝たい。誰か作ってくれないかな。








 A-2





 彼が帰ってきたみたい。


 予想通り、疲れた様子で玄関を開けている。でも、入った瞬間に異変に気付いたみたい。それもそのはず、彼の家でご飯のいい匂いが玄関まで広がってるなんてこと、ほとんどないもの。早くリビングまで来てくださいな。あなた専用に仕立て上げたすき焼きが食べてもらうのを今か今かと待っているから。








 B-2





 やっと家に帰ってきた。


 存外今日は疲れていたが、玄関を開けた瞬間に、疲れが吹き飛んだ。家の様子がおかしい。鍋のいい香りがここまで来ている。いったい誰がこんなことを。取りあえず回れ右して行ったん玄関を出る。表札も部屋番号も間違っていない。ここは確実に自分の部屋である。どうしたものか。








 C-1





 「盗聴器が寝室に四つ、リビングに六つ。洗面所と風呂場に二つずつ、トイレに一つ、隠しカメラがリビング以外に一つづつ、リビングには三つ。鍵は無理に開けられた様子はないので、きっと合い鍵を作ったんでしょう。ここまで来ると鍵を変えるだけでは効果は薄そうです。引っ越すことをお勧めしますよ。」