炒り豆腐 | 黒田かおりの日々

炒り豆腐

こんばんは。

黒田かおりです。

急に思い出してブログを書いてみる。

 

私の母は料理が得意だけど、母から教わった料理は少ない。

じっくり教わる時間があまりなかったので、

『ポテトサラダ』と『サツマイモと林檎のバター煮』と『炒り豆腐』

この3品くらいしか教わってないのではなかろうか。

あとは友達に教えてもらったり、

友達のお母さんに教えてもらったり、

レシピを検索したりしてレパートリーを増やしてきた。

 

今日は久しぶりに晩ご飯に『炒り豆腐』を作った。

子どもの頃から炒り豆腐が大好きで、

よくねだって作ってもらった料理のひとつ。

木綿豆腐をフライパンに入れ、崩しながら炒めて水分を飛ばす。

出汁粉と醤油で味付けをして、溶き卵を回しかけ、

豆腐を卵でコーティングするように、切り混ぜる。

オリジナルはどうだったか忘れたけど、

私は仕上げにごま油を少し垂らす。

アレンジで人参や椎茸を入れても美味しい。

冷蔵庫によくある食材を使って手早くできるし、

ご飯も進むし、お酒のアテにもいい。

もちろんお弁当に入れてもいい。

 

まだ小学校にも上がっていなかった時期、

大好きな祖父母の家に遊びに行った時のこと。

父母は仕事などで帰り、私は祖父母宅に泊まることとなった。

田んぼのあぜ道、家の目の前にある川には鷺も来る。

夜になると聴こえる蛙の声。

昔からの商店が所々にあって、ご近所さんはみんな顔見知り。

近所の環境も含めて、祖父母の家はとても大好きだった。

 

たくさん散策を楽しんだその日、

晩ご飯に、どうしても『炒り豆腐』が食べたくなった私は、

祖母に作って欲しいとおねだりした。

豆腐でもない、卵でもない、美味しいほろほろが口の中で転がるのを想像して、

わくわくしながら待っていた。

出てきたのは、『炒り豆腐』ではなかった。

衝撃過ぎてうろ覚えだが、『炒り卵』…だったと思う。

大泣きした。

 

祖母は、涙が止まらない私を見て、

「どうしたんかねぇ。はぁ、疲れたんじゃろうか?」と困った様子。

『炒り豆腐』の詳しい作り方を知らなかった私は、

祖母に上手にレシピの説明できず、泣き濡れるしかなかった。

母の母なんだから、当然『炒り豆腐』を作れると思っていた。

後で聞けば、母はこのレシピを祖母に教わったわけではなく、

自分でなんとなく作り始めたらしい。

結局、私の大泣きは祖母の手に負えず、

早々に迎えに来てもらうことになった。

祖父母宅でもっと遊びたかったのに、

我慢が足りず、結局自分が損する羽目になった。

 

急に『炒り豆腐』が作りたくなったのも、先日祖母がなくなったからだろう。

遠いのでなかなか会えなかったけれど、

生きているうちに『炒り豆腐』を作って、この話をしたら、

祖母はその時のことを思い出してくれていただろうか。

そんなことを考えながら、また時々美味しい『炒り豆腐』を作ろう。