聞いた話。


小学校で妙に落ち着きがない子や、授業を妨害する子は

たいていきちんとしつけをしている家庭に育っていて

親の前ではとてもいい子なことが多いそうだ。


ある男の子は授業中、席につかなかったり

やじをとばしたりを、わざとする。

母親は、たいてい教育熱心。

担任は面談で話していて思ったそうだ。

「ああ、家でストレスがたまるから学校で発散しているんだな」と。


普通は学校(や社会)でたまったストレスを癒すのは家庭の役割。

なのに、その子は親の前が一番気が抜けないのだ。



ある女の子も、母親が教育熱心。

ある日、クラスで「死ね」と書かれた紙が何人かの机に入っていたことがあったそうだ。

その文字は黒いマジックで書かれていて、その女の子の机にうっすらと跡を残していた。


少し前から、その女の子は不安定な状態で

嘘をついたりするようになっていた矢先だったので

犯人として追及しないほうがいいと校長と話し合って決めた。


やった人はわかっているけれど、

今回は言わないからもう二度とこんなことはしないようにと

クラス全員に諭してこの一件を終わらせようとしたら

その子は焦ったのか、翌日、自分で「死ね」と書いた紙を持ってきた。

あきらかに筆跡は本人だった。

まだ小学2年生で、知恵がまわらないのだ。


問題はその母親が学校へ押しかけてきて

やった子がわかっているなら、みんなの前で謝罪させろと騒いだことだ。

まさか「お前の子だよ」と言えず、大変だったそうだ。


担任は、その母親から罵詈雑言をあびても耐えに耐え、家に帰って悔しさで泣いた。



その話を聞いて、なんだかいろいろとやるせなくなってしまった。