まだまだ田園が広く残る練馬区内、

のどかな風景の中にある公園に

ぴったり隣接する2階建ての木造アパートに

トム君のもともとの飼い主さんが

1人で住んでいました。

 

1階に住む飼い主さんは

トム君が外に散歩に出るため

トイレの窓づたいに

公園の塀の上に着地できるよう

室内に足場を設ける工夫を

していたようです。

 

トム君の飼い主さんは結核を患っていました。

時々都内の療養所に入院していましたが

長期入院したきり帰らぬ人となってしまいました。

お部屋から飼い主さんの荷物が運び出され

トム君は締め出されることに。

 

ご主人の死を知る由もないトム君は

公園の塀の上でいつも1人ぽつんと

大好きなご主人の帰りを待っていました。

 

そんな哀れなトム君の姿が

近所で餌やりをしている妻の目に留まり

我が家で迎えることになったのです。

 

トム君が家族になって早6年。

猫エイズ陽性でしたが

よく食べよく寝てふっくら体型の

愛すべきフォルム。

優しくおとなしい性格で

同居の7匹とも絶対争わず、

何かというとトム君にちょっかいを出す

強気なサビ猫を

適当にあしらっている様子を

何度も目にしたものです。

 

そんなトム君の健康に陰りが出たのが

1年ほど前。

食とぽっちゃり体型が徐々に細くなり、

首輪に隙間ができ始めた頃

トム君とのお別れを意識しました。

 

最後の数か月は動物病院まで

週に3,4回点滴に通いました。

そして3月22日推定10歳のトム君は

虹の橋の向こうへ

大好きだったご主人のところへ

走って帰っていきました。

 

2度目の飼い主に

ずいぶんと懐いて

老夫婦にたくさん笑顔を

もたらしてくれたトム君。

今頃はご主人に私たちとの

生活を話してくれているかも。

君は私たちと一緒の日々に

満足してくれていたのかな。

また会おうな、トム君!

 

元気だった頃のトム君

7,8歳頃

私の作業机にぴょんと乗って

飼い主の枕元はトム君にとってもくつろぎスペース!

2020年2月25日

痩せてしまってもポーズはしっかり