食欲とは不思議です。
食べるとお腹が空く。
食べないと、
狂おしい程の食べたい衝動は
ほんの2、3時間続くだけで、
その後、砂漠の朝のように鎭まります。
そして、食べなくとも平気になる。
そう、どんな環境にも人間は慣れてしまう
と言ったアウシュヴィッツの地獄を経験した
ある精神科医が言ったように…
少年は食べないのが当たり前のように丘を越え、
水を汲みに行きます。
その瞬間、
朝焼けの太陽の光が少年の顔を照らします。
5歳の幼い顔が青年にも、壮年にも、老人の
ように変転していきます。
おばあさんを護る…
その一念が少年をその様な顔に変えていくのでしょう。人間は一人では生きられないといいますが、それは、誰かを守る為に人間は創られているからかも知れません。
砂漠の厳しい環境が5歳の少年をそう変えていくのです。